民法第619条(賃貸借の更新の推定等)

2015年(平成27年)

【問 8】 同時履行の抗弁権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはいくつあるか。
ア マンションの賃貸借契約終了に伴う賃貸人の敷金返還債務と、賃借人の明渡債務は、特別の約定のない限り、同時履行の関係に立つ。
誤り。建物明渡しと敷金返還は同時履行の関係に立たない。建物の明け渡しが先(民法第533条・第619条、最判S49.9.2)。

2011年(平成23年)

【問 6】 Aは自己所有の甲建物をBに賃貸し賃料債権を有している。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
3 甲建物の抵当権者Eが、物上代位権を行使してAのBに対する賃料債権を差し押さえた場合、その後に賃貸借契約が終了し、目的物が明け渡されたとしても、Bは、差し押さえにかかる賃料債務につき、敷金の充当による当然消滅を、Eに対抗することはできない。
誤り。敷金が授受された賃貸借契約における賃料債権につき抵当権者が物上代位権を行使してこれを差し押さえた場合において、当該賃貸借契約が終了し、目的物が明渡されたときは、賃料債権は、敷金の充当によりその限度で消滅する(民法第619条、判例)。

2008年(平成20年)

【問 10】 Aは、自己所有の甲建物 (居住用) をBに賃貸し、引渡しも終わり、敷金50万円を受領した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
2 Aが甲建物をCに譲渡し、所有権移転登記を経た場合、Bの承諾がなくとも、敷金が存在する限度において、敷金返還債務はAからCに承継される。
正しい。本肢記述のとおり(民法第619条、判例)。
3 BがAの承諾を得て賃借権をDに移転する場合、賃借権の移転合意だけでは、敷金返還請求権 (敷金が存在する限度に限る。) はBからDに承継されない。
正しい。本肢記述のとおり(民法第619条、判例)。
4 甲建物の抵当権者がAのBに対する賃料債権につき物上代位権を行使してこれを差し押さえた場合においても、その賃料が支払われないまま賃貸借契約が終了し、甲建物がBからAに明け渡されたときは、その未払賃料債権は敷金の充当により、その限度で消滅する。
正しい。本肢記述のとおり(民法第619条、判例)。
【問 13】 Aが所有している甲土地を平置きの駐車場用地として利用しようとするBに貸す場合と、一時使用目的ではなく建物所有目的を有するCに貸す場合とに関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。
2 土地賃貸借契約の期間満了後に、Bが甲土地の使用を継続していてもAB間の賃貸借契約が更新したものと推定されることはないのに対し、期間満了後にCが甲土地の使用を継続した場合には、AC間の賃貸借契約が更新されたものとみなされることがある。
誤り。賃貸借の期間が満了した後Bが賃借物の使用又は収益を継続する場合において、Aがこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する(民法第619条第1項)。AC間の記述は正しい(借地借家法第5条)。

2003年(平成15年)

【問 11】 借主Aは、B所有の建物について貸主Bとの間で賃貸借契約を締結し、敷金として賃料2ヵ月分に相当する金額をBに対して支払ったが、当該敷金についてBによる賃料債権への充当はされていない。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
1 賃貸借契約が終了した場合、建物明渡しと敷金返還とは同時履行の関係に立たず、Aの建物明渡しはBから敷金の返還された後に行えばよい。
誤り。明渡しがなければ敷金も返還されない(民法第619条、判例)。
2 賃貸借契約期間中にBが建物をCに譲渡した場合で、Cが賃貸人の地位を承継したとき、敷金に関する権利義務は当然にCに承継される。
正しい。敷金に関する権利義務は新しい賃貸人に承継される(民法第619条、判例)。
3 賃貸借契約期間中にAがDに対して賃借権を譲渡した場合で、Bがこの賃借権譲渡を承諾したとき、敷金に関する権利義務は当然にDに承継される。
誤り。賃借権が譲渡され賃貸人がそれを承諾したとき、敷金の権利義務関係は、別段の合意がない限り、賃借権を譲り受けた者には、当然には承継されない(民法第619条、判例)。
4 賃貸借契約が終了した後、Aが建物を明け渡す前に、Bが建物をEに譲渡した場合で、BE間でEに敷金を承継させる旨を合意したとき、敷金に関する権利義務は当然にEに承継される。
誤り。賃貸借契約が終了して、賃借人が建物を明け渡す前に建物が譲渡された場合には、終了した賃貸借での敷金は新所有者には当然には承継されない(民法第619条、判例)。

2001年(平成13年)

【問 9】 Aは、BからB所有の建物を賃借し、特段の定めをすることなく、敷金として50万円をBに交付した。この場合のAのBに対する敷金返還請求権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 賃貸借契約期開中でも、Bの返済能力に客観的な不安が生じた場合は、Aは、賃料支払債務と敷金返還請求権とを対当額にて相殺することができる。
誤り。賃貸借期間中は、賃料支払債務と敷金返還請求権とを相殺することはできない(民法第619条、判例)。
2 敷金返還請求権は、賃貸借契約と不可分であり、Aは、Bの承諾があったとしても、これをAの債権者に対して担保提供することができない。
誤り。敷金契約は賃貸借契約とは別の契約であり、賃借人の敷金返還請求権は賃貸借とは別の独立した権利なので、金額が未確定な停止条件付債権であっても賃借人の第三者への債務の担保として提供することができる(民法第619条、判例)。
3 賃貸借契約が終了した場合、建物明渡債務と敷金返還債務とは常に同時履行の関係にあり、Aは、敷金の支払と引換えにのみ建物を明け渡すと主張できる。
誤り。建物明渡しと敷金返還は同時履行の関係にない。建物の明け渡しが先(民法第619条、判例)。
4 Bは、Aの、賃貸借契約終了時までの未払賃料については、敷金から控除できるが、契約終了後明渡しまでの期間の賃料相当損害額についても、敷金から控除できる。
正しい。本肢記述のとおり(民法第619条、判例)。

1999年(平成11年)

【問 14】 賃貸人Aと賃借人Bとの間の居住用建物の賃貸借契約に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
4 BがAに敷金を交付していた場合に、Aがこの建物をDに売却し、賃貸人としての地位をDに承継したときでも、Dの承諾がない限りAの敷金返還債務は承継されず、Bは、Aに対してのみ敷金の返還請求をすることができる。
誤り。賃貸人が変更した場合、当事者間に特約がない限り、敷金関係は賃貸人となったDに承継される(民法第619条、判例)。

1998年(平成10年)

【問 3】 建物の賃借人Aは、賃貸人Bに対して有している建物賃貸借契約上の敷金返還請求権につき、Cに対するAの金銭債務の担保として質権を設定することとし、Bの同意を得た。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
4 Cが、質権設定を受けた後その実行ができることとなった場合で、Bに対し質権を実行する旨の通知をしたとき、Bは、その通知受領後Aの明渡し完了前に発生する賃料相当損害金については敷金から充当することができなくなる。
誤り。敷金は、建物明渡し完了前に生じる損害を担保するものであり、敷金の返還請求権は、建物明渡し完了前に生じた損害を敷金から控除した残額について生じる(民法第619条、判例)。

1994年(平成6年)

【問 10】 Aは、A所有の建物を、Bから敷金を受領して、Bに賃貸したが、Bは賃料の支払いを遅滞している。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。なお、Bの未払賃料の額は、敷金の額の範囲内である。
1 Bは、Aに対し、未払賃料について敷金からの充当を主張することができる。
誤り。本肢のような主張は認められない。未払賃料について敷金からの充当をするかどうかを決めるのは、賃貸人Aであり、賃借人Bが主張できるわけではない(民法第619条、判例)。
2 Bの債権者Cが敷金返還請求権を差し押えたときは、Aは、その範囲で、Bの未払賃料の弁済を敷金から受けることができなくなる。
誤り。敷金返還請求権が差し押さえられた場合であっても、優先的に弁済を受けることができるのは、賃貸人Aである(民法第619条、判例)。
3 AがDに建物を譲渡し、Dが賃貸人となった場合、Aに差し入れていた敷金は、Bの未払賃料を控除した残額について、権利義務関係がDに承継される。
正しい。本肢記述のとおり(民法第619条、判例)。
4 Bが未払賃料を支払って、Aの承諾を得て賃借権をEに譲渡した場合、Bが、Eに敷金返還請求権を譲渡する等しなくても、敷金に関する権利義務関係は、Eに承継される。
誤り。敷金返還請求権は、当然には新賃借人(E)には承継されない(民法第619条、判例)。

1990年(平成2年)

【問 9】 Aは、その所有する建物を明らかな一時使用(期間2年)のためBに賃貸したが、Bは期間満了後も居住を続け、Aも、その事実を知りながら異議を述べなかった。この場合、民法及び借地借家法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
1 Aは、期間満了を理由に、Bに対し、直ちに明渡し請求をすることができる。
誤り。賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する(民法第619条)。この場合において、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができ、解約の申入れの日から3ヵ月を経過することによって終了する(同法第617条第1項第2号)。
2 Aは、正当事由のある場合に限り解約し、Bに対し、直ちに明渡し請求をすることができる。
誤り。本問は建物の明らかな一時使用のため借地借家法は適用されず、解約に正当事由は不要である。第1肢と同様に、この契約は期間の定めのない賃貸借として更新されるため、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができ、解約の申入れの日から3ヵ月を経過することによって終了する(民法第617条第1項第2号、第619条)。
3 Aは、正当事由のない場合でも解約の申入れをし、Bに対し、その3ヵ月後に明渡し請求をすることができる。
正しい。第2肢の解説参照(民法第617条第1項第2号、第619条)。
4 Aは、正当事由のある場合に限り解約の申入れをし、Bに対し、その6ヵ月後に明渡し請求をすることができる。
誤り。第2肢の解説参照(民法第617条第1項第2号、第619条)。

 

【問 13】 Aは、BからB所有の建物を賃借して、居住しているが、Bがその建物をCに売却し、登記も移転した。この場合、次のそれぞれの記述は、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
2 AがBに敷金を差し入れていた場合、Cは、Bからその敷金を受領しない限り、Aに対する敷金返還債務を引き継がない。
誤り。賃貸人の地位を引継いだCは、前の賃貸人であるBから敷金の引継ぎがあったかどうかに関係なく、敷金返還債務を引き継ぐ(民法第619条、判例)。

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