民法第501条(弁済による代位の効果)
2013年(平成25)
- 【問 6】 A銀行のBに対する貸付債権1,500万円につき、CがBの委託を受けて全額について連帯保証をし、D及びEは物上保証人として自己の所有する不動産にそれぞれ抵当権を設定していた場合、次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- 1 CがA銀行に対して債権全額について保証債務を履行した場合、Cは、D及びEの各不動産に対する抵当権を実行して1,500万円を回収することができる。
- 誤り。弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位する(民法第500条)。保証人は自己の負う保証債務を弁済する義務があり、それに基づいて弁済するのであるから、当然に「正当な利益」を有する(大判T6・7・5など)。本肢のような連帯保証人についても同様に解されている(大判S9・10・16など)。保証人と物上保証人との間においては、その数に応じて、債権者に代位する。ただし、物上保証人が数人あるときは、保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応じて、債権者に代位する(同法第501条第5号)。本肢では物上保証人が数人あるときに該当する(DとEの2人)ので、まず、頭数によって保証人の負担部分を計算すると500万円がCの負担となる。Cは、残り1,000万円について、各物上保証人の担保物件の価格に応じて求償することができる。仮に、DとEの不動産の価格が等しいのであれば、Cは、DとEに対して、それぞれ500万円を求償することができる。
- 2 A銀行がDの不動産の抵当権を実行して債権全額を回収した場合、DはCに対して、1,000万円を限度として求償することができる。
- 誤り。第1肢の解説にもあるように、保証人(C)と物上保証人(DとE)との間においては、その頭数に応じてのみ代位が認められる(民法第500条、第501条第5号)。本肢の場合、DはCに対して、500万円を限度として求償することができる。
- 3 第三者がDの所有する担保不動産を買い受けた後、CがA銀行に対して債権全額を弁済した場合、Cは代位の付記登記をしなければ、当該第三者に対してA銀行に代位することができない。
- 誤り。保証人は、あらかじめ先取特権、不動産質権又は抵当権の登記にその代位を付記しなければ、その先取特権、不動産質権又は抵当権の目的である不動産の第三取得者に対して債権者に代位することができない(民法第500条、第501条第1号)。ここで「あらかじめ」とはどの時点を指すのかについて判例では、「保証人が弁済した後、第三取得者の取得の登記前」の意味と解している(最判S41・11・18)。具体的には、保証人が弁済した後に第三取得者が取得の登記をした場合には、代位の付記登記をしなければ代位できないが、先に第三取得者が取得をし、その後に保証人が弁済した場合には、代位の付記登記がなくても代位することができることになる。本肢は、この具体例の後者にあたるため、Cは代位の付記登記をしなくても、第三取得者に対してA銀行に代位することができる。
- 4 Eの担保不動産を買い受けた第三者がA銀行に対して債権全額を弁済した場合、当該第三者は、Cに対して、弁済した額の一部を求償することができる。
- 正しい。第三取得者は、保証人に対して債権者に代位しない(民法第500条、第501条第2号)。ここにいう「第三取得者」とは、先取特権・不動産質権・抵当権の目的である不動産について所有権・地上権・地役権などを取得した者をいい、後順位担保権者を含まない(大判S7・12・21)。また、ここにいう「第三取得者」は、その債務者(本肢ではB)からの第三取得者であるか、物上保証人(本肢ではD及びE)からの第三取得者であるかを区別しないのが従来からの通説であるが、両者を区別してここでの「第三取得者」は、債務者からの第三取得者に限定して解釈すべしとする説も近時では有力である。近時の有力説によると、物上保証人からの第三取得者は、物上保証人の地位を承継するから、保証人に対して代位することができることになる(同法第501条第5号)。本肢は、この近時の有力説からの出題と思われる。
1994年(平成6年)
- 【問 5】 AのBに対する債務について、CがAの連帯保証人となるとともに、Aの所有地にBの抵当権を設定し、その登記をしたが、その後Aは、その土地をDに譲渡し、登記も移転した。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。
- 3 CがDの取得前にBに弁済した場合、Cは、Aに対してBに代位することができるが、Dに対しては、代位の付記登記をしておかなければ、Bに代位することができない。
- 正しい。弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位する(民法第500条)。保証人は、あらかじめ先取特権、不動産質権又は抵当権の登記にその代位を付記しなければ、その先取特権、不動産質権又は抵当権の目的である不動産の第三取得者に対して債権者に代位することができない(同法第501条第1号)。
- 4 DがBに弁済した場合、Dは、A及びCに対してBに代位することができる。
- 誤り。弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位する(民法第500条)。ただし、第三取得者は、保証人に対して債権者に代位しない(同法第501条第2号)。したがって、第三取得者Dは、債権者Bへの弁済により、債務者Aに対して債権者Bに代位できるが、Aの連帯保証人Cに対しては、債権者Bに代位することはできない。

