借地借家法第32条(借賃増減請求権)

2015年(平成27年)

【問 12】 賃貸人と賃借人との間で、建物につき、期間5年として借地借家法第38条に定める定期借家契約(以下「定期借家契約」という。)を締結する場合と、期間5年として定期借家契約ではない借家契約(以下「普通借家契約」という。)を締結する場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、借地借家法第40条に定める一時使用目的の賃貸借契約は考慮しないものとする。
2 賃貸借契約開始から3年間は賃料を増額しない旨の特約を定めた場合、定期借家契約においても、普通借家契約においても、当該特約は無効である。
誤り。建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う(借地借家法第32条第1項)。一定の期間、借賃を増額しない特約は、定期借家契約でも普通借家契約でも有効である。

2012年(平成24年)

【問 12】 A所有の居住用建物(床面積50㎡)につき、Bが賃料月額10万円、期間を2年として、賃貸借契約(借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借、同法第39条に規定する取壊し予定の建物の賃貸借及び同法第40条に規定する一時使用目的の建物の賃貸借を除く。以下この問において「本件普通建物賃貸借契約」という。)を締結する場合と、同法第38条の定期建物賃貸借契約(以下この問において「本件定期建物賃貸借契約」という。)を締結する場合とにおける次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。
2 本件普通建物賃貸借契約でも、本件定期建物賃貸借契約でも、賃料の改定についての特約が定められていない場合であって経済事情の変動により賃料が不相当になったときには、当事者は将来に向かって賃料の増減を請求することができる。
正しい。建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う(借地借家法第32条第1項)。賃料増減請求権に関する規定は普通建物賃貸借でも、定期建物賃貸借でも適用される。

2010年(平成22年)

【問 12】 Aは、B所有の甲建物につき、居住を目的として、期間2年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約(以下この間において「本件契約」という。)をBと締結して建物の引渡しを受けた。この場合における次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
4 本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、賃料の改定に関する特約がない場合、契約期間中に賃料が不相当になったと考えたA又はBは、賃料の増減額請求権を行使できる。
正しい。本肢記述のとおり(借地借家法第32条、第38条第7項)。

2004年(平成16年)

【問 14】 貸主A及び借主Bの建物賃貸借契約に関する次の記述のうち、賃料増減請求権に関する借地借家法第32条の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 建物が完成した時を始期とする賃貸借契約において、建物建築中に経済事情の変動によってAB間で定めた賃料が不相当になっても、建物の使用収益開始前にBから賃料減額請求を行うことはできない。
正しい。本肢記述のとおり(借地借家法第32条第1項、判例)。
2 AB間の建物賃貸借契約が、Bが当該建物をさらに第三者に転貸する事業を行ういわゆるサブリース契約である場合、使用収益開始後,経済事情の変動によってAB間で定めた賃料が不相当となっても、Bから賃料減額請求を行うことはできない。
誤り。サブリース契約でも「賃料減額請求」はできる(借地借家法第32条第1項、判例)。サブリース契約とは、賃貸ビル等を運営管理する事業者が、第三者に転貸する目的で,土地や建物の所有者から土地・建物を一括して借り上げる方式のものが代表的な例。
3 Bが賃料減額請求権を行使してAB間に協議が調わない場合、賃料減額の裁判の確定時点から将来に向かって賃料が減額されることになる。
誤り。減額の効果は、減額請求の意思表示到達時点から生じる(借地借家法第32条第1項)。
4 Aが賃料増額請求権を行使してAB間に協議が調わない場合、BはAの請求額を支払わなければならないが,賃料増額の裁判で正当とされた賃料額を既払額が超えるときは、Aは超過額に年1割の利息を付してBに返還しなければならない。
誤り。建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない(借地借家法第32条第2項)。BはAの請求額を支払わなければならないわけではない。

2001年(平成13年)

【問 13】 賃貸人A(個人)と賃借人B(個人)との間の居住用建物の賃貸借契約に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 Bが家賃減額の請求をしたが、家賃の減額幅についてAB間に協議が調わず裁判になったときは、Aは、その裁判が確定するまでの期間は、Aが相当と認める金額の家賃を支払うようにBに請求できる。
正しい。本肢記述のとおり(借地借家法第32条第3項)。
2 Bが家賃減額の請求をしたが、家賃の減額幅についてAB間に協議が調わず裁判になったときは、その請求にかかる一定額の減額を正当とする裁判が確定した時点以降分の家賃が減額される。
誤り。減額請求の意思表示をした時からである(借地借家法第32条第3項)。
3 家賃が、近傍同種の建物の家賃に比較して不相当に高額になったときは、契約の条件にかかわらず、Bは、将来に向かって家賃の減額を請求することができる。
正しい。本肢記述のとおり(借地借家法第32条第1項)。
4 AB間で、3年間は家賃を減額しない旨特に書面で合意した場合、その特約は効力を有しない。
正しい。減額請求できない特約は無効(借地借家法第32条第1項)。

1997年(平成9年)

【問 12】 家屋の賃貸人Aと賃借人Bの間の家賃に関する次の記述のうち、借地借家法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 家賃の増減について特約のない場合で、建物の価格の低下その他の経済事情の変動により家賃が不相当に高額となったとき、Bは、Aに対し将来に向かって家賃の減額を請求できる。
正しい。建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う(借地借家法第32条第1項)。
2 一定期間家賃を増額しない旨の特約がある場合でも、その期間内に、建物の価格の上昇その他の経済事情の変動により家賃が不相当に低額となったときは、Aは、Bに対し将来に向かって家賃の増額を請求することができる。
誤り。一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、家賃の増額請求はすることができない(借地借家法第32条第1項)。
3 Aの家賃の増額請求について、増額を正当とする裁判が確定した場合で、Bが既に支払った額に不足があるとき、Bは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれをAに支払わなければならない。
正しい。建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない(借地借家法第32条第2項)。

1993年(平成5年)

【問 12】 平成16年10月Aがその所有する住宅をBに新たに賃貸した場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。
2 「賃料は2年の契約期間中増額しない」と特約した場合、Aは、当該期間中増額請求をすることができない。
正しい。本肢記述のとおり(借地借家法第32条第1項)。

1992年(平成4年)

【問 11】 建物の賃貸借に関する次のそれぞれの記述は、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
2 賃貸借契約の更新の際、家賃の増額について賃貸人の請求があったときは、賃借人は、これを拒むことはできない。
誤り。建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない(借地借家法第32条第2項)。賃借人は、家賃の増額請求を拒めないわけではない。

1990年(平成2年)

【問 13】 Aは、BからB所有の建物を賃借して、居住しているが、Bがその建物をCに売却し、登記も移転した。この場合、次のそれぞれの記述は、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
3 CがAに賃料の増額を請求した場合、Aは、その増額を相当でないと考えたときは、相当と認める賃料を、直ちに供託すればよい。
誤り。建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けたAは、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる(借地借家法第32条第2項)。Cが弁済の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、Aは、Cのために弁済の目的物を供託してその債務を免れることができる(民法第494条)。本肢のように、直ちに供託することはできない。

関係法令

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