借地借家法第30条(強行規定)

2012年(平成24年)

【問 12】 A所有の居住用建物(床面積50㎡)につき、Bが賃料月額10万円、期間を2年として、賃貸借契約(借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借、同法第39条に規定する取壊し予定の建物の賃貸借及び同法第40条に規定する一時使用目的の建物の賃貸借を除く。以下この問において「本件普通建物賃貸借契約」という。)を締結する場合と、同法第38条の定期建物賃貸借契約(以下この問において「本件定期建物賃貸借契約」という。)を締結する場合とにおける次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。
3 本件普通建物賃貸借契約では、更新がない旨の特約を記載した書面を契約に先立って賃借人に交付しても当該特約は無効であるのに対し、本件定期建物賃貸借契約では、更新がない旨の特約を記載した書面を契約に先立って賃借人に交付さえしておけば当該特約は有効となる。
誤り。普通建物賃貸借で期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす(借地借家法第26条第1項)。建物の賃貸人による更新拒絶等の通知には正当な事由が必要である(同法第28条)。なお、この規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは無効となるため、本肢のように更新ない旨の特約を書面でしても無効となる(同法第30条)。これに対し、定期建物賃貸借では、建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。建物の賃貸人がこの説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは無効となるため、本肢のように単に書面を交付しただけでは、有効な特約とはならない(同法第38条第2項・第3項)。

関係法令

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