借地借家法第28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)

2012年(平成24年)

【問 12】 A所有の居住用建物(床面積50㎡)につき、Bが賃料月額10万円、期間を2年として、賃貸借契約(借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借、同法第39条に規定する取壊し予定の建物の賃貸借及び同法第40条に規定する一時使用目的の建物の賃貸借を除く。以下この問において「本件普通建物賃貸借契約」という。)を締結する場合と、同法第38条の定期建物賃貸借契約(以下この問において「本件定期建物賃貸借契約」という。)を締結する場合とにおける次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。
3 本件普通建物賃貸借契約では、更新がない旨の特約を記載した書面を契約に先立って賃借人に交付しても当該特約は無効であるのに対し、本件定期建物賃貸借契約では、更新がない旨の特約を記載した書面を契約に先立って賃借人に交付さえしておけば当該特約は有効となる。
誤り。普通建物賃貸借で期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす(借地借家法第26条第1項)。建物の賃貸人による更新拒絶等の通知には正当な事由が必要である(同法第28条)。なお、この規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは無効となるため、本肢のように更新ない旨の特約を書面でしても無効となる(同法第30条)。これに対し、定期建物賃貸借では、建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。建物の賃貸人がこの説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは無効となるため、本肢のように単に書面を交付しただけでは、有効な特約とはならない(同法第38条第2項・第3項)。

2009年(平成21年)

【問 12】 A所有の甲建物につき、Bが一時使用目的ではなく賃料月額10万円で賃貸借契約を締結する場合と、Cが適当な家屋に移るまでの一時的な居住を目的として無償で使用貸借契約を締結する場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
2 期間の定めがない場合、AはBに対して正当な事由があるときに限り、解約を申し入れることができるのに対し、返還時期の定めがない場合、AはCに対していつでも返還を請求できる。
誤り。AB間の賃貸借において、当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる(民法第617条)。ただし、建物の賃貸人による解約の申入れは、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない(借地借家法第28条)。一方、AC間の使用貸借においては、当事者が返還の時期を定めなかったときは、借主は、契約に定めた目的に従い使用及び収益を終わった時に、返還をしなければならない。ただし、その使用及び収益を終わる前であっても、使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、貸主は、直ちに返還を請求することができる(民法第597条第2項)。したがって、AはCに対していつでも返還を請求できるわけではない。

1998年(平成10年)

【問 12】 Aが、Bに対し期間2年と定めて賃貸した建物を、BはCに対し期間を定めずに転貸し、Aはこれを承諾した。この場合、借地借家法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。
2 AがBに対し更新拒絶の通知をするための正当の事由の有無は、A及びBについての事情によって決せられ、Cについての事情は考慮されない。
誤り。Cの事情も考慮される(借地借家法第28条)。

1996年(平成8年)

【問 12】 AがBに対してA所有の建物を期間を定めないで賃貸した場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
3 AがBに対し解約の申入れをするため必要な正当の事由は、解約の申入れ時に存在すれば足り、6月経過時には存在しなくてもよい。
誤り。解約申入れに必要な正当事由はいつ存在しなければいけないかという問題について、判例は、はっきりしていない。学説では、「解約申入れのときから口頭弁論終結時まで正当事由が存続することを要する」というのが有力な見解とされている(借地借家法第28条)。
4 AがBに対し解約の申入れをするため必要な正当の事由は、Aの自己使用の必要性のほかに、AがBに対し建物の明渡しの条件として金銭を支払う旨のAの申出をも考慮して判断される。
正しい。建物の賃貸人による契約の更新をしない旨の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない(借地借家法第28条)。

1989年(平成1年)

【問 13】 Aは、その所有する建物をBに貸借した。この場合、借地借家法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。
3(改) Aは、賃貸借契約の更新について、正当の事由がなければ、これを拒むことはできない。
正しい。本肢記述のとおり(借地借家法第28条)。

関係法令

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