借地借家法第5条(借地契約の更新請求等)

2014年(平成26年)

【問 11】 甲土地の所有者が甲土地につき、建物の所有を目的として賃貸する場合(以下「ケース①」という。)と、建物の所有を目的とせずに資材置場として賃貸する場合(以下「ケース②」という。)に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。
3 期間を定めない契約を締結した後に賃貸人が甲土地を使用する事情が生じた場合において、ケース①では賃貸人が解約の申入れをしても合意がなければ契約は終了しないのに対し、ケース②では賃貸人が解約の申入れをすれば契約は申入れの日から1年を経過することによって終了する。
正しい。ケース①では借地借家法が適用され、ケース②では民法が適用される。期間の定めのない借地権は、法定期間の30年が存続期間となる(借地借家法第3条)。したがって、ケース①では、賃貸人からの一方的な解約の申し入れはすることができない(同法第5条第1項)。一方、民法では、「当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、土地の賃貸借は、解約の申入れの日から1年を経過することによって終了する。」と定められている(民法第617条第1項第1号)。
4 賃貸借の期間を定めた場合であって当事者が期間内に解約する権利を留保していないとき、ケース①では賃借人側は期間内であっても1年前に予告することによって中途解約することができるのに対し、ケース②では賃貸人も賃借人もいつでも一方的に中途解約することができる。
誤り。ケース①では借地借家法が適用され、ケース②では民法が適用される。選択肢3の解説にあるように、ケース②は正しい記述である(民法第617条第1項第1号)。ただし、ケース①では、解約留保の条項がない限り期間内の解約はすることができない(借地借家法(第3条、第5条)。

2009年(平成21年)

【問 11】 現行の借地借家法の施行後に設定された借地権に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。
2 借地権の当初の存続期間が満了する場合において、借地権者が借地契約の更新を請求したときに、建物があるときは、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときでも、その異議の理由にかかわりなく、従前の借地契約と同一の条件で借地契約を更新したものとみなされる。
誤り。借地権設定者の正当事由のある異議を述べた場合には、借地契約は、原則として更新されない(借地借家法第5条第1項、第6条)。

2008年(平成20年)

【問 13】 Aが所有している甲土地を平置きの駐車場用地として利用しようとするBに貸す場合と、一時使用目的ではなく建物所有目的を有するCに貸す場合とに関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。
2 土地賃貸借契約の期間満了後に、Bが甲土地の使用を継続していてもAB間の賃貸借契約が更新したものと推定されることはないのに対し、期間満了後にCが甲土地の使用を継続した場合には、AC間の賃貸借契約が更新されたものとみなされることがある。
誤り。賃貸借の期間が満了した後Bが賃借物の使用又は収益を継続する場合において、Aがこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する(民法第619条第1項)。AC間の記述は正しい(借地借家法第5条)。
3 土地賃貸借契約の期間を定めなかった場合、Aは、Bに対しては、賃貸借契約開始から30年が経過すればいつでも解約の申入れをすることができるのに対し、Cに対しては、賃貸借契約開始から30年が経過しなければ解約の申入れをすることができない。
誤り。当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる(民法第617条第1項)。したがって、AはBに対してはいつでも解約の申し入れをすることができる。一方、AC間の契約は存続期間が30年となるが、期間が満了して更新されなかった場合にのみ賃貸借契約は終了するのであり、解約の申入れにより賃貸借契約が終了するわけではない(借地借家法第5条)。

2007年(平成19年)

【問 13】 Aが所有者として登記されている甲土地上に、Bが所有者として登記されている乙建物があり、CがAから甲土地を購入した場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
3 BがAとの間で甲土地の借地契約を締結しており、甲土地購入後に借地権の存続期間が満了した場合であっても、Cは、Bに対して建物を収去して土地を明け渡すよう請求できない場合がある。
正しい。借地権者Bの更新請求や使用継続により更新されることがある(借地借家法第5条)。

1998年(平成10年)

【問 11】 Aは、平成4年8月、その所有地について、Bに対し、建物の所有を目的とし存続期間30年の約定で賃借権(その他の特約はないものとする。)を設定した。この場合、借地借家法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
2 当初の存続期間満了時に建物が存在しており、Bが契約の更新を請求した場合で、Aがこれに対し遅滞なく異議を述べたが、その異議に正当の事由がないとき、契約は更新したものとみなされ、更新後の存続期間は30年となる。
誤り。更新後の期間は20年となる(借地借家法第4条、第5条)。

1993年(平成5年)

【問 11】 平成16年10月AがBのために新たに借地権を設定した場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
2 「期間満了の際、AがBに対し相当の一定額の交付さえ行えば、Aは更新を拒絶できる」と特約しても、その特約は、無効である。
正しい。本肢の場合は借主にとって不利な特約であり、無効となる(借地借家法第5条、第6条、第9条)。

1992年(平成4年)

【問 10】 Aは、木造の建物の所有を目的として、Bが所有する土地を期間30年の約定で賃借している。この場合、民法及び借地借家法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
2 期間満了前に建物が滅失し、Aが再築をしない場合、期間満了の際にAが契約の請求をしても、Bが異議を述べたときは、当該契約は更新されない。
正しい。借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない(借地借家法第5条第1項)。本肢では、借地権者Aが契約の更新請求をした際に、建物が存在しないので、借地権設定者Bが異議を述べたときは、契約は更新されない。
3(改) 期間満了後Aが建物ある土地の使用を継続している場合、Bが遅滞なく異議を述べなければ、期間の定めのない借地権が設定されたものとみなされる。
誤り。本肢の場合、借地期間は更新されるが、期間の定めがないわけではなく、更新後の期間は、20年又は10年となる(借地借家法第4条、第5条)。

1989年(平成1年)

【問 12】 Aは、Bの所有する土地を賃借し、その上に木造の建物を所有している。この場合、借地借家法の規定および判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。
2 借地権の存続期間満了の際、Aが契約の更新を請求した場合において、建物が存在し、Bが異議を述べなかったときは、前の契約と同一の条件をもって、更に借地権を設定したものとみなされる。
正しい。本肢記述のとおり(借地借家法第5条第1項)。
3(改) 借地権の存続期間満了後、Aが土地の使用を継続している場合において、建物が存在し、Bが異議を述べなかったときは、前の契約と同一の条件をもって、更に借地権を設定したものとみなされる。
正しい。本肢記述のとおり(借地借家法第5条第2項)。

関係法令

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