民法第900条(法定相続分)

2014年(平成26年)

【問 10】 Aには、父のみを同じくする兄Bと、両親を同じくする弟C及び弟Dがいたが、C及びDは、Aより先に死亡した。Aの両親は既に死亡しており、Aには内縁の妻Eがいるが、子はいない。Cには子F及び子Gが、Dには子Hがいる。Aが、平成26年8月1日に遺言を残さずに死亡した場合の相続財産の法定相続分として、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Eが2分の1、Bが6分の1、Fが9分の1、Gが9分の1、Hが9分の1である。
誤り。本問の場合、Aの相続人は、B・F・G・Hである。内縁の妻Eは法定相続人とはなれない(民法第887条第2項、第889条第1項第2号・第2項、第890条)。次に、相続分であるが、兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする(同法第900条第4号)と定められている。したがって、本問の場合、Aの兄Bの相続分はAの弟CDの半分になる。例えば、Bが1を相続するとしたらCDの相続分はそれぞれ2となるのでこれを合計して分母にもってくればよい(5分の〇となる)。したがって、5分の1がBの相続分となる。本来ならば、残りをCとDがそれぞれ5分の2を相続するが、両者はすでに死亡しているので、これが代襲されることになる。Cの相続分である5分の2は、FとGに代襲され(二等分する)それぞれ5分の1を相続することになる。Dの相続分である5分の2はそのままHに代襲されるので、Hの相続分は5分の2となる。
2 Bが3分の1、Fが9分の2、Gが9分の2、Hが9分の2である。
誤り。第1肢の解説参照(民法第887条第2項、第889条第1項第2号・第2項、第890条、第900条第4号)。
3 Bが5分の1、Fが5分の1、Gが5分の1、Hが5分の2である。
正しい。第1肢の解説参照(民法第887条第2項、第889条第1項第2号・第2項、第890条、第900条第4号)。
4 Bが5分の1、Fが15分の4、Gが15分の4、Hが15分の4である。
誤り。第1肢の解説参照(民法第887条第2項、第889条第1項第2号・第2項、第890条、第900条第4号)。

2013年(平成25年)

【問 10】 婚姻中の夫婦AB間には嫡出子CとDがいて、Dは既に婚姻しており嫡出子Eがいたところ、Dは平成25年10月1日に死亡した。他方、Aには離婚歴があり、前の配偶者との間の嫡出子Fがいる。Aが平成25年10月2日に死亡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 Aが死亡した場合の法定相続分は、Bが2分の1、Cが5分の1、Eが5分の1、Fが10分の1である。
誤り。Aが死亡した場合の法定相続分は、Bが2分の1、Cが6分の1、Eが6分の1(Dの相続分を代襲相続)、Fが6分の1である(民法第887条、第900条、第901条)。

2012年(平成24年)

【問 10】 Aは未婚で子がなく、父親Bが所有する甲建物にBと同居している。Aの母親Cは平成23年3月末日に死亡している。AにはBとCの実子である兄Dがいて、DはEと婚姻して実子Fがいたが、Dは平成24年3月末日に死亡している。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 Bが死亡した場合の法定相続分は、Aが2分の1、Eが4分の1、Fが4分の1である。
誤り。Bが死亡した場合、Bの配偶者Cはすでに死亡しているため、Bの子がその財産を相続する。しかし、Bの子Dもすでに死亡しているため、Dの相続分はDの子(Bからみると孫)Fが代襲相続する。したがって、Bの財産は、Bの子Aが2分の1、Bの孫Fが2分の1の割合で相続するが、Eには相続分はない(民法第887条、第900条、第901条)。

2004年(平成16年)

【問 12】 自己所有の建物に妻Bと同居していたAが、遺言を残さないまま死亡した。Aには先妻との間に子C及びDがいる。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
3 A死亡の時点でBがAの子Eを懐妊していた場合、Eは相続人とみなされ、法定相続分は、Bが2分の1、C・D・Eは各6分の1ずつとなる。
正しい。本肢記述のとおり(民法第886条、第900条)。

2001年(平成13年)

【問 11】 被相続人Aの相続人の法定相続分に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
3(改) Aが死亡し、配偶者D及びその2人の子供E、Fで遺産分割及びそれに伴う処分を終えた後、認知の訴えの確定により、さらに摘出でない子Gが1人いることが判明した。Gの法定相続分は6分の1である。
出題当時は誤り。相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続入が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する(民法第910条)。なお、出題当時、Gは非嫡出子でありその相続分は10分の1となる(民法第900条第4号)。なお、民法の一部を改正する法律(平成25年12月11日法律第94号)により、平成25年9月5日以後に開始した相続については、民法第900条第4号ただし書きの規定から「嫡出でない子の相続分は、嫡出である相続分の2分の1とし」という文言が削除されたため、本肢が平成25年9月5日以後に開始した相続の場合、Gの相続分は6分の1となる。

1996年(平成8年)

【問 10】 居住用建物を所有するAが死亡した場合の相続に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Aに、配偶者B、Bとの婚姻前に縁組した養子C、Bとの間の実子D(Aの死亡より前に死亡)、Dの実子E及びFがいる場合、BとCとEとFが相続人となり、EとFの法定相続分はいずれも8分の1となる。
正しい。本肢記述のとおり。それぞれの相続分は、Bは2分の1(法定相続分)、Cは2分の1(法定相続分)×2分の1(CとDで2等分)=4分の1、EとFは2分の1(法定相続分)×2分の1(CとDで2等分)×2分の1(EとFで2等分)=8分の1となる(民法第887条、第890条、第900条、第901条)。
2 Aに、配偶者B、母G、兄Hがいる場合、Hは相続人とならず、BとGが相続人となり、Gの法定相続分は4分の1となる。
誤り。本肢の場合、BとGが相続人となり、Gの法定相続分は3分の1となる(民法第889条、第890条、第900条)。
4 Aに、その死亡前1年以内に離婚した元配偶者Jと、Jとの間の未成年の実子Kがいる場合、JとKが相続人となり、JとKの法定相続分はいずれも2分の1となる。
誤り。元配偶者Jには相続権はなく、実子Kがすべてを相続する(民法第887条、第890条、第900条)。

1990年(平成2年)

【問 11】 Aが死亡し、相続人として、妻Bと嫡出子C・D・Eがいる。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。
1 Cが相続を放棄した場合、DとEの相続分は増えるが、Bの相続分については変わらない。
正しい。本肢記述のとおり(民法第887条、第890条、第900条、第939条)。

1989年(平成1年)

【問 11(改)】 Xは、9,000万円の遺産を残して死亡した。Xには、配偶者YとYとの間の子Aがある。XとYとの間には、Aのほかに子Bもいたが、BはX死亡の前に既に死亡しており、その子bが残されている。さらに、Xには、非嫡出子Cもいる。また、Aには子aがおり、AはX死亡後直ちに相続を放棄した。この場合の民法の規定に基づく法定相続人に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 Yが6,000万円、Cが3,000万円の相続分を取得する。
誤り。本問の場合、相続人は、Y、b、Cである。それぞれの相続分は、出題当時は、Yが4,500万円、bが3,000万円、Cが1,500万円となる(民法第887条、第890条、第900条、第901条、第939条)。なお、民法の一部を改正する法律(平成25年12月11日法律第94号)により、平成25年9月5日以後に開始した相続については、民法第900条第4号ただし書きの規定から「嫡出でない子の相続分は、嫡出である相続分の2分の1とし」という文言が削除された。仮に、本問の相続が平成25年9月5日以後に開始した相続であるときは、相続人はY、b、Cで変わらないが、その相続分は、Yが4,500万円、bが2,250万円、Cが2,250万円となる。
2 Yが4,500万円、bが4,500万円の相続分を取得する。
誤り。第1肢の解説参照(民法第887条、第890条、第900条、第901条、第939条)。
3 Yが4,500万円、bが3,000万円、Cが1,500万円の相続分を取得する。
出題当時は正しい。第1肢の解説参照(民法第887条、第890条、第900条、第901条、第939条)。
4 Yが4,500万円、aが1,800万円、bが1,800万円、Cが900万円の相続分を取得する。
誤り。第1肢の解説参照(民法第887条、第890条、第900条、第901条、第939条)。

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