民法第899条(共同相続の効力)

2011年(平成23年)

【問 10】 AがBから事業のために、1,000万円を借り入れている場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
3 Aが死亡し、相続人であるDとEにおいて、Aの唯一の資産である不動産をDが相続する旨の遺産分割協議が成立した場合、相続債務につき特に定めがなくても、Bに対する借入金返済債務のすべてをDが相続することになる。
誤り。各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する(民法第899条)。Aの唯一の資産である不動産をDが相続する旨の遺産分割協議が成立したからといって、Aの債務まですべてDが負担しなければならないわけではなく、Aの債務はDとEがその相続分に応じて負担する。

2007年(平成19年)

【問 12】 AがBに対して1,000万円の貸金債権を有していたところ、Bが相続人C及びDを残して死亡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
3 C及びDが単純承認をした場合には、法律上当然に分割されたAに対する債務を相続分に応じてそれぞれが承継する。
正しい。本肢記述のとおり(民法第899条)。

2003年(平成15年)

【問 12】 Aが死亡し、それぞれ3分の1の相続分を持つAの子B、C及びD(他に相続人はいない。 )が、全員、単純承認し、これを共同相続した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
3 相続財産である預金返還請求権などの金銭債権は、遺産分割協議が成立するまでは、相続人3人の共有に属し、3人全員の同意がなければ、その債務者に弁済請求できない。
誤り。相続財産である債権は不可分債権と可分債権に分かれる。登記請求権などの不可分債権では、各相続人は相続人全員のために、その不可分債権全部の履行を債務者に請求することができ、弁済を受領することができる(民法第428条、第429条)。本肢の金銭債権(預金債権・貸付金債権など)は可分債権なので、相続開始と同時に各共同相続人の相続分に応じて分割された分割債権になる。したがって、遺産分割前でも各相続人は相続分に応じて弁済請求できる(第427条、第899条、判例)。

1995年(平成7年)

【問 11】 Aには、妻B、子C・Dがあり、A及びBは、CにA所有の資産全部を相続させAの事業も承継させたいと考えているが、Cは賛成し、Dは反対している。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
3 Dは、Aの死亡後で遺産分割前であっても、B及びCの同意を得なければ、自己の相続分を第三者に譲渡することはできない。
誤り。所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する(民法第206条)。分割前の相続財産は、相続人の共有であり、各共有者は、いつでも所有権に基づいて、自己の相続分を第三者に譲渡することができる(第898条、第899条)。

関係法令

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