民法第724条(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)

2014年(平成26年)

【問 6】 Aは、Bに建物の建築を注文し、完成して引渡しを受けた建物をCに対して売却した。本件建物に瑕疵があった場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
3 CがBに対して本件建物の瑕疵に関して不法行為責任に基づく損害賠償を請求する場合、当該請求ができる期間は、Cが瑕疵の存在に気付いてから1年以内である。
誤り。不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする(民法第724条)。本肢では、「Cが瑕疵の存在に気付いてから1年以内である。」となっているため、誤りである。
【問 8】 不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 不法行為による損害賠償請求権の期間の制限を定める民法第724条における、被害者が損害を知った時とは、被害者が損害の発生を現実に認識した時をいう。
正しい。不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする(民法第724条)。ここでいう、被害者が損害を知った時とは、被害者が損害の発生を現実に認識した時をいう(最判H14.1.29)。
2 不法行為による損害賠償債務の不履行に基づく遅延損害金債権は、当該債権が発生した時から10年間行使しないことにより、時効によって消滅する。
誤り。本肢の不法行為によって発生した損害賠償債権(遅延損害金債権も含む。)は、民法第724条の規定が適用され、不法行為の時から20年間の時効期間にかかる(民法第724条)。なお、この20年間は除斥期間を定めたと解するのが相当とされている(最判H1.12.21)。除斥期間とは、法律関係を速やかに確定させるため、一定期間の経過によって権利を消滅させる制度であるが、消滅時効と違い「中断」や「停止」がないとされている。
3 不法占拠により日々発生する損害については、加害行為が終わった時から一括して消滅時効が進行し、日々発生する損害を知った時から別個に消滅時効が進行することはない。
誤り。不法占拠のような継続的な不法行為の場合には、この行為により日々発生する損害について被害者がその各々を知った時から各々に消滅時効が進行する(民法第724条、大判S15.12.14)。
4 不法行為の加害者が海外に在住している間は、民法第724条後段の20年の時効期間は進行しない。
誤り。第2肢でも書いたように、民法第724条の期間は除斥期間と解されているため、時効の中断や停止はない(民法第724条、最判H1.12.21)。

2007年(平成19年)

【問 5】 不法行為による損害賠償に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
4 不法行為による損害賠償の請求権の消滅時効の期間は、権利を行使することができることとなった時から10年である。
誤り。不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする(民法第724条)。

2005年(平成17年)

【問 11】 Aは、所有する家屋を囲う塀の設置工事を業者Bに請け負わせたが、Bの工事によりこの塀は瑕疵がある状態となった。Aがその後この塀を含む家屋全部をCに賃貸し、Cが占有使用しているときに、この瑕疵により塀が崩れ、脇に駐車中のD所有の車を毀損させた。A、B及びCは、この瑕疵があることを過失なく知らない。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
4 Dが、車の破損による損害賠償責任請求権を、損害及び加害者を知ったときから3年間行使しなかったときは、この請求権は時効により消滅する。
正しい。不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする(民法第724条)。

2000年(平成12年)

【問 8】 Aが、その過失によってB所有の建物を取り壊し、Bに対して不法行為による損害賠償債務を負担した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
3 Bが、不法行為による損害と加害者を知った時から1年間、損害賠償請求権を行使しなければ、当該請求権は消滅時効により消滅する。
誤り。不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする(民法第724条)。

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