民法第719条(共同不法行為者の責任)

2013年(平成25)

【問 9】 Aに雇用されているBが、勤務中にA所有の乗用車を運転し、営業活動のため顧客Cを同乗させている途中で、Dが運転していたD所有の乗用車と正面衝突した(なお、事故についてはBとDに過失がある。)場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 Aは、Cに対して事故によって受けたCの損害の全額を賠償した。この場合、Aは、BとDの過失割合に従って、Dに対して求償権を行使することができる。
正しい。ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う(民法第715条第1項)。共同不法行為の加害者間では、過失割合に応じて求償が認められる(民法第719条第1項)。したがって、Aは、BとDの過失割合に従って、Dに対して求償権を行使することができる。
3 事故によって損害を受けたCは、AとBに対して損害賠償を請求することはできるが、Dに対して損害賠償を請求することはできない。
誤り。数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする(民法第715条第1項、第719条第1項)。事故によって損害を受けたCは、AとBだけでなく、共同不法行為者であるDに対しても、損害賠償を請求することができる。

2007年(平成19年)

【問 5】 不法行為による損害賠償に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
3 加害者数人が、共同不法行為として民法第719条により各自連帯して損害賠償の責任を負う場合、その1人に対する履行の請求は、他の加害者に対してはその効力を有しない。
正しい。判例によれば、債務者間に主観的共同関係がないことや被害者救済の見地から、共同不法行為による債務は不真正連帯債務とされており、債務者の一人に生じた事由は他の債務者には影響しないとされる(民法第719条、判例)。

2002年(平成14年)

【問 11】 Aの被用者Bと、Cの被用者Dが、A及びCの事業の執行につき、共同してEに対し不法行為をし、A、B、C及びDが、Eに対し損害賠償を負担した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 Aは、Eに対するBとDの加害割合が6対4である場合は、Eの損害全額の賠償請求に対して、損害の6割に相当する金額について賠償の支払をする責任を負う。
誤り。加害割合には関係なく、損害賠償の全額を支払う責任がある(民法第715条第1項、第719条第1項)。
2 Aが、自己の負担部分を超えて、Eに対し損害を賠償したときは、その超える部分につき、Cに対し、Cの負担部分の限度で求償することができる。
正しい。共同不法行為の加害者間では、過失割合に応じて求償が認められる(民法第719条第1項、判例)。
4 Dが、自己の負担部分を超えて、Eに対し損害を賠償したときは、その超える部分につき、Aに対し、Aの負担部分の限度で求償することができる。
正しい。本肢記述のとおり(民法第715条、民法第719条第1項、判例)。

2000年(平成12年)

【問 8】 Aが、その過失によってB所有の建物を取り壊し、Bに対して不法行為による損害賠償債務を負担した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
2 不法行為がAの過失とCの過失による共同不法行為であった場合、Aの過失がCより軽微なときでも、Bは、Aに対して損害の全額について賠償を請求することができる。
正しい。本肢記述のとおり(民法第719条第1項、判例)。

1992年(平成4年)

【問 9】 不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
3 売主及び買主がそれぞれ別の宅地建物取引業者に媒介を依頼し、両業者が共同して媒介を行った場合において、両業者の共同不法行為により買主が損害を受けたときは、買主は、買主が依頼した業者に損害賠償を請求することはできるが、売主が依頼した業者に損害賠償を請求することはできない。
誤り。売主が依頼した業者にも損害賠償請求をすることができる(民法第719条)。

関係法令

このページを閉じる

ページ上部に戻る