民法第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)

2005年(平成17年)

【問 11】 Aは、所有する家屋を囲う塀の設置工事を業者Bに請け負わせたが、Bの工事によりこの塀は瑕疵がある状態となった。Aがその後この塀を含む家屋全部をCに賃貸し、Cが占有使用しているときに、この瑕疵により塀が崩れ、脇に駐車中のD所有の車を毀損させた。A、B及びCは、この瑕疵があることを過失なく知らない。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 Aは、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていれば、Dに対する損害賠償責任を免れることができる。
誤り。工作物の所有者は、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていたかどうかに関係なく損害賠償をしなければならない (民法第717条第1項但書)。
3 Cは、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていれば、Dに対する損害賠償責任を免れることができる。
正しい。占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない(民法第717条第1項但書)。

2001年(平成13年)

【問 10】 甲建物の占有者である(所有者ではない。 )Aは、甲建物の壁が今にも剥離しそうであると分かっていたのに、甲建物の所有者に通知せず、そのまま放置するなど、損害発生の防止のため法律上要求される注意を行わなかった。そのために壁が剥離して通行人Bが死亡した。この場合、Bの相続人からの不法行為に基づく損害賠償請求に関する次の記述は、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
3 Bの相続人は,Aに対しては損害賠償請求ができるが、甲建物の所有者に対しては、損害賠償請求ができない。
正しい。本肢記述のとおり。占有者Aは損害の発生を防止するのに必要な注意をしていない(民法第717条第1項)。
4 壁の剥離につき、壁の施工業者にも一部責任がある場合には、Aは、その施工業者に対して求償権を行使することができる。
正しい。損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる(民法第717条第3項)。

1996年(平成8年)

【問 6】 AがBとの請負契約によりBに建物を建築させてその所有者となり、その後Cに売却した。Cはこの建物をDに賃貸し、Dが建物を占有していたところ、この建物の建築の際におけるBの過失により生じた瑕疵により、その外壁の一部が剥離して落下し、通行人Eが重傷を負った。この場合の不法行為責任に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
3 Cは、損害の発生を防止するため必要な注意をしていたときでも、瑕疵ある土地の工作物の所有者として、Eに対して不法行為責任を負うことがある。
正しい。土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者Dは、被害者Eに対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者Dが損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者Cがその損害を賠償しなければならない(民法第717条第1項)。
4 Dは、損害の発生を防止するため必要な注意をしていたときでも、瑕疵ある土地の工作物の占有者として、Eに対して不法行為責任を負うことがある。
誤り。第3肢の解説参照(民法第717条第1項)。

関係法令

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