民法第708条(不法原因給付)

1997年(平成9年)

【問 7】 不当利得に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
2 建物の所有者Cが、公序良俗に反する目的でその建物をDに贈与し、その引渡し及び登記の移転が不法原因給付である場合、CがDに対しその返還を求めることはできないが、その建物の所有権自体は引き続きCに帰属する。
誤り。不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない(民法第708条)。本肢の場合、Cは、Dに対しその返還を求めることはできず、その建物の所有権はDに帰属する。
4 土地を購入したHが、その購入資金の出所を税務署から追求されることをおそれて、Iの所有名義に登記し土地を引き渡した場合は不法原因給付であるから、Hは、Iに対しその登記の抹消と土地の返還を求めることはできない。
誤り。判例では、本肢の場合は、民法第708条でいう不法の原因にはならないとして、返還請求を認めている。本肢のHとIの行為は、通謀虚偽表示となり、Hは、Iに所有権移転登記の抹消とその土地の返還を求めることができる(民法第94条、第708条、判例)。

関係法令

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