民法第543条(履行不能による解除権)

2007年(平成19年)

【問 10】 平成19年9月1日にA所有の甲建物につきAB間で売買契約が成立し、当該売買契約において同年9月30日をもってBの代金支払と引換えにAは甲建物をBに引き渡す旨合意されていた。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
2 甲建物が同年9月15日時点でAの責に帰すべき火災により滅失した場合、有効に成立していた売買契約は、Aの債務不履行によって無効となる。
誤り。Aの債務不履行(履行不能)であるが、契約自体が無効になるわけではない(民法第543条)。

1998年(平成10年)

【問 8】 Aが、Bに建物を3,000万円で売却した場合の契約の解除に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
3 Bが代金を支払った後Aが引渡しをしないうちに、Aの過失で建物が焼失した場合、Bは、Aに対し契約を解除して、代金の返還、その利息の支払い、引渡し不能による損害賠償の各請求をすることができる。
正しい。履行の全部又は一部が不能となったときは、債権者は、契約の解除をすることができる(民法第543条)。当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う(同法第545条第1項)。解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない(同条第3項)。

1996年(平成8年)

【問 11】 AがBに対し、A所有の建物を売り渡し、所有権移転登記を行ったが、まだ建物の引渡しはしていない場合で、代金の支払いと引換えに建物を引き渡す旨の約定があるときに関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
4 Bが代金の支払いを終え、建物の引渡しを求めたのにAが応じないでいる場合でも、建物が地震で全壊したときは、Bは、契約を解除して代金の返還を請求することができない。
誤り。本肢は、債務不履行の問題となり、Bは、契約を解除して代金の返還を請求することができる(民法第541条、第543条、判例)。

1989年(平成1年)

【問 9】 A所有の家屋につき、Aを売主、Bを買主とする売買契約が成立した。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
3 家屋の所有権移転登記後、引渡し前に、その家屋がAの失火によって焼失した場合、その契約は失効する。
誤り。履行の全部又は一部が不能となったときは、債権者は、契約の解除をすることができる(民法第543条)。自働的に契約が失効するわけではない。

関係法令

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