民法第534条(債権者の危険負担)

2007年(平成19年)

【問 10】 平成19年9月1日にA所有の甲建物につきAB間で売買契約が成立し、当該売買契約において同年9月30日をもってBの代金支払と引換えにAは甲建物をBに引き渡す旨合意されていた。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
3 甲建物が同年9月15日時点でBの責に帰すべき火災により滅失した場合、Aの甲建物引渡し債務も、Bの代金支払債務も共に消滅する。
誤り。Bの代金支払債務は消滅しない(危険負担の問題。民法第534条)。
4 甲建物が同年9月15日時点で自然災害により滅失しても、AB間に「自然災害による建物滅失の危険は、建物引渡しまでは売主が負担する」との特約がある場合、Aの甲建物引渡し債務も、Bの代金支払債務も共に消滅する。
正しい。危険負担について特約があればそれに従う(民法第534条)。

1996年(平成8年)

【問 11】 AがBに対し、A所有の建物を売り渡し、所有権移転登記を行ったが、まだ建物の引渡しはしていない場合で、代金の支払いと引換えに建物を引き渡す旨の約定があるときに関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 代金の支払い及び建物の引渡し前に、その建物が地震によって全壊したときは、Aは、Bに対して代金の支払いを請求することはできない。
誤り。特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する(民法第534条第1項)。本肢は、危険負担に関する問題であり、Aは、Bに対して代金の全額の支払いを請求することができる。
2 代金の支払い及び建物の引渡し前に、その建物の一部が地震によって損壊したときは、Aは、代金の額から損壊部分に見合う金額を減額した額であれば、Bに対して請求することができる。
誤り。本肢の場合も、Aは、Bに対して代金の全額の支払いを請求することができる(民法第534条第1項)。

1989年(平成1年)

【問 9】 A所有の家屋につき、Aを売主、Bを買主とする売買契約が成立した。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
1 家屋の所有権移転登記後、引渡し前に、その家屋が天災によって滅失した場合、Aは、Bに対し代金を請求することができない。
誤り。本肢は、危険負担の問題となり、Aは、Bに対し代金を請求することができる(民法第534条第1項)。
2 家屋の所有権移転登記後、引渡し前に、その家屋が放火によって半焼した場合、Bは、Aに対し代金の減額を請求することができる。
誤り。本肢も危険負担の問題となる。したがって、Bは、Aに対し代金の減額を請求することはできない(民法第534条第1項)。

関係法令

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