民法第533条(同時履行の抗弁)

2015年(平成27年)

【問 8】 同時履行の抗弁権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはいくつあるか。
ア マンションの賃貸借契約終了に伴う賃貸人の敷金返還債務と、賃借人の明渡債務は、特別の約定のない限り、同時履行の関係に立つ。
誤り。建物明渡しと敷金返還は同時履行の関係に立たない。建物の明け渡しが先(民法第533条・第619条、最判S49.9.2)。
イ マンションの売買契約がマンション引渡し後に債務不履行を理由に解除された場合、契約は遡及的に消滅するため、売主の代金返還債務と、買主の目的物返還債務は、同時履行の関係に立たない。
誤り。本肢の場合、売主の代金返還債務と、買主の目的物返還債務は、同時履行の関係に立つ(民法第533条・第546条)。
ウ マンションの売買契約に基づく買主の売買代金支払債務と、売主の所有権移転登記に協力する債務は、特別の事情のない限り、同時履行の関係に立つ。
正しい。本肢の買主の売買代金支払債務と、売主の所有権移転登記に協力する債務は、特別の事情のない限り、同時履行の関係に立つ(民法第533条、大判T7.8.14)。

2006年(平成18年)

【問 8】 AはBとの間で、土地の売買契約を締結し、Aの所有権移転登記手続とBの代金の支払を同時に履行させることとした。決済約定日に、Aは所有権移転登記手続を行う債務の履行の提供をしたが、Bが代金債務につき弁済の提供をしなかったので、Aは履行を拒否した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
3 Aは、一旦履行の提供をしているので、Bに対して代金の支払を求める訴えを提起した場合、引換給付判決ではなく、無条件の給付判決がなされる。
誤り。AがBとの契約を解除しないでBに代金を請求する場合には、Bは履行遅滞であっても、同時履行の抗弁権を援用してAが所有権移転登記をしなければ代金支払をしないと主張できる(民法第533条、判例)。

2003年(平成15年)

【問 9】 同時履行の関係に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 動産売買契約における目的物引渡債務と代金支払債務とは、同時履行の関係に立つ。
正しい。本肢記述のとおり(民法第533条)。
3 貸金債務の弁済と当該債務の担保のために経由された抵当権設定登記の抹消登記手続とは、同時履行の関係に立つ。
誤り。借主が借金の返済をしなければ、貸主に対して抵当権抹消を請求することはできない(民法第533条、判例)。

2002年(平成14年)

【問 1】 AがBの欺罔行為によって、A所有の建物をCに売却する契約をした場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
2 AがCに所有権移転登記を済ませ、CがAに代金を完済した後、詐欺による有効な取消しがなされたときには、登記の抹消と代金の返還は同時履行の関係になる。
正しい。本肢記述のとおり(民法第121条、第533条、判例)。

1999年(平成11年)

【問 8】 同時履行の抗弁権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 宅地の売買契約における買主が、代金支払債務の弁済期の到来後も、その履行の提供をしない場合、売主は、当該宅地の引渡しと登記を拒むことができる。
正しい。本肢記述のとおり(民法第533条)。
4 金銭の消費貸借契約の貸主が、借主の借金に係る抵当権設定登記について、その抹消登記手続の履行を提供しない場合、借主は、当該借金の弁済を拒むことができる。
誤り。金銭の消費貸借契約では、借主の債務の弁済と貸主の抵当権抹消は同時履行の関係には立たず、借主が借金の返済をしなければ、貸主に対して、抵当権抹消を請求することはできない(民法第533条、判例)。

1996年(平成8年)

【問 9】 Aが、B所有の建物を代金8,000万円で買い受け、即日3,000万円を支払った場合で、残金は3ヵ月後所有権移転登記及び引渡しと引換えに支払う旨の約定があるときに関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
2 Bが、履行期に建物の所有権移転登記はしたが、引渡しをしない場合、特別の合意がない限り、Aは、少なくとも残金の半額2,500万円を支払わなければならない。
誤り。双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる(民法第533条)。本肢の場合、売主Bが全部の履行を提供するまでは、Aは、残代金を支払う必要はない。

1993年(平成5年)

【問 6】 AのBからの借入金100万円の弁済に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
4 Aは、弁済に当たり、Bに対して領収証を請求し、Bがこれを交付しないときは、その交付がなされるまで弁済を拒むことができる。
正しい。弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる(民法第486条)。双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる(同法第533条)。

1992年(平成4年)

【問 8】 居住用不動産の売買契約の解除又は取消に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
2 買主が支払期日に代金を支払わない場合、売主は、不動産の引渡しについて履行の提供をしなくても、催告をすれば、当該契約を解除することができる。
誤り。相手方の債務不履行を追及するためには、自らの履行の提供が必要である(民法第533条、第541条)。

1991年(平成3年)

【問 9】 AのBに対する貸金に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
4 Bが返済をしようとしても、Aが受取証書を交付しないときは、Bは、その交付がなされるまで、返済を拒むことができる。
正しい。弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる(民法第486条、第533条)。

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