民法第395条(抵当建物使用者の引渡しの猶予)

2013年(平成25)

【問 5】 抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
3 対象不動産について第三者が不法に占有している場合、抵当権は、抵当権設定者から抵当権者に対して占有を移転させるものではないので、事情にかかわらず抵当権者が当該占有者に対して妨害排除請求をすることはできない。
誤り。第三者が抵当不動産を不法占拠することにより、競売手続の進行が害され適正な価額よりも売却代金が下落するおそれがあるなど、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権の効力として、抵当権者は、抵当不動産の所有者に対し、その有する権利を適切に行使するなどしてこの状態を是正し抵当不動産を適切に維持または保存するよう求める請求権を有する。したがって、抵当権者は、この請求権を保全する必要があるときは、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することができる(民法第395条、第423条、最大判H11.11.24)。

2010年(平成22年)

【問 5】 AはBから2,000万円を借り入れて土地とその上の建物を購入し、Bを抵当権者として当該土地及び建物に2,000万円を被担保債権とする抵当権を設定し、登記した。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているのはどれか。
3 Bの抵当権設定登記後にAがDに対して当該建物を賃貸し、当該建物をDが使用している状態で抵当権が実行され当該建物が競売された場合、Dは競落人に対して直ちに当該建物を明け渡す必要がない。
正しい。抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者(本肢のD)であって、競売手続の開始前から使用又は収益をする者は、その建物の競売における買受人の買受けの時から6ヵ月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない(民法第395条第1項)。

2008年(平成20年)

【問 4】 Aは、Bから借り入れた2,000万円の担保として抵当権が設定されている甲建物を所有しており、抵当権設定の後である平成20年4月1日に、甲建物を賃借人Cに対して賃貸した。Cは甲建物に住んでいるが、賃借権の登記はされていない。この場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
2 抵当権が実行されて、Dが甲建物の新たな所有者となった場合であっても、Cは民法第602条に規定されている短期賃貸借期間の限度で、Dに対して甲建物を賃借する権利があると主張することができる。
誤り。短期賃貸借保護の制度は廃止された。ただし、Cには、6ヶ月の明渡し猶予期間の保護がある(民法第395条)。

関係法令

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