民法第369条(抵当権の内容)

2014年(平成26年)

【問 4】 AがBとの間で、CのBに対する債務を担保するためにA所有の甲土地に抵当権を設定する場合と根抵当権を設定する場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 抵当権を設定する場合には、被担保債権を特定しなければならないが、根抵当権を設定する場合には、BC間のあらゆる範囲の不特定の債権を極度額の限度で被担保債権とすることができる。
誤り。抵当権を設定する場合には、被担保債権を特定しなければならない(民法第369条第1項)。したがって、抵当権に関する記述は正しい。一方、根抵当権については、「抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。」と定められている(同法第398条の2第1項)。根抵当権の被担保債権は「一定の範囲に属する」ものでなければならず、本肢のように「あらゆる範囲の不特定の債権」とするいわゆる包括根抵当は認められていない。本肢は根抵当に関する記述が誤りである。

2010年(平成22年)

【問 5】 AはBから2,000万円を借り入れて土地とその上の建物を購入し、Bを抵当権者として当該土地及び建物に2,000万円を被担保債権とする抵当権を設定し、登記した。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているのはどれか。
4 AがBとは別に事業資金としてEから500万円を借り入れる場合、当該土地及び建物の購入代金が2,000万円であったときには、Bに対して500万円以上の返済をした後でなければ、当該土地及び建物にEのために2番抵当権を設定することはできない。
誤り。先順位の抵当権者Bの債権額に関係なく、AE間の合意があれば、2番抵当権を設定することができる(民法第369条)。

2006年(平成18年)

【問 5】 Aは、Bから借り入れた2,400万円の担保として第一順位の抵当権が設定されている甲土地を所有している。Aは、さらにCから1,600万円の金銭を借り入れ、その借入金全額の担保として甲土地に第二順位の抵当権を設定した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
2 Aが抵当権によって担保されている2,400万円の借入金全額をBに返済しても、第一順位の抵当権を抹消する前であれば、Cの同意の有無にかかわらず、AはBから新たに2,400万円を借り入れて、第一順位の抵当権を設定することができる。
誤り。弁済によって消滅したはずの抵当権の登記を新たな抵当権の登記に流用することは、原則として無効(民法第369条、判例)。

2003年(平成15年)

【問 6】 普通抵当権と元本確定前の根抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
2 普通抵当権でも、根抵当権でも、現在は発生しておらず、将来発生する可能性がある債権を被担保債権とすることができる。
正しい。本肢記述のとおり(民法第369条、第398条の2、判例)。
3 普通抵当権でも、根抵当権でも、被担保債権を譲り受けた者は、担保となっている普通抵当権又は根抵当権を被担保債権とともに取得する。
誤り。元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない(民法第369条、第398条の7第1項)。

2002年(平成14年)

【問 6】 Aは、Bに対する貸付金債権の担保のために、当該貸付金債権額にほぼ見合う評価額を有するB所有の更地である甲土地に抵当権を設定し、その旨の登記をした。その後、Bはこの土地上に乙建物を築造し、自己所有とした。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
1 Aは、Bに対し、乙建物の築造行為は、甲土地に対するAの抵当権を侵害する行為であるとして、乙建物の収去を求めることができる。
誤り。抵当権設定者は抵当権の目的物を使用・収益できる(民法第369条)。

1995年(平成7年)

【問 6】 AがBに対する債務の担保のためにA所有建物に抵当権を設定し、登記をした場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 Aが通常の利用方法を逸脱して、建物の毀損行為を行う場合、Aの債務の弁済期が到来していないときでも、Bは、抵当権に基づく妨害排除請求をすることができる。
正しい。本肢記述のとおり(民法第369条、判例)。

1994年(平成6年)

【問 5】 AのBに対する債務について、CがAの連帯保証人となるとともに、Aの所有地にBの抵当権を設定し、その登記をしたが、その後Aは、その土地をDに譲渡し、登記も移転した。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。
1 Aは、その土地をDに譲渡する際、B及びCに通知する必要はない。
正しい。本肢記述のとおり(民法第206条、第369条)。
2(改) Bは、抵当権を実行する際、あらかじめDに通知しなくてもよい。
正しい。本肢記述のとおり(民法第369条)。改正前は、抵当権者は、抵当権を実行しようとするときは、第三取得者にその旨を通知する義務があったが、法改正によりこの規定は削除された。

1993年(平成5年)

【問 10】 AがBから土地を賃借して、建物を建て、その登記をした後、その建物にCの抵当権を設定して、登記をしたが、Aが弁済期に履行しなかったので、Cが抵当権を実行して、Dがその建物を競落した。この場合、民法及び借地借家法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
1 Cは、抵当権を実行する際、A及びBに通知しなければならない。
誤り。抵当権者は抵当権を実行する前に第三取得者にあらかじめ通知しなければならないという規定は、平成15年の民法改正で廃止された(民法第369条)。

1992年(平成4年)

【問 6】 Aは、BのCに対する債務を担保するため、Aの所有地にCの抵当権を設定し、その旨の登記も完了した後、建物を新築して、Dに対し当該土地建物を譲渡した。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
1 Cは、Bが債務を返済しないときは、Dに通知しなければ、抵当権を実行することができない。
誤り。抵当権実行の通知に関する規定は、平成15年の法改正で廃止された(民法第369条)。

1991年(平成3年)

【問 7】 不動産を目的とする担保物権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
2 不動産を目的とする担保物権の中には、被担保債権が将来のものであっても、存在するものがある。
正しい。抵当権や根抵当権が該当する(民法第369条、第398条の2、判例)。

1989年(平成1年)

【問 7】 抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 抵当権は、不動産だけでなく、地上権及び永小作権にも設定することができる。
正しい。地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる(民法第369条第2項)。

関係法令

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