民法第96条(詐欺又は強迫)

2011年(平成23年)

【問 1】 A所有の甲土地につき、AとBとの間で売買契約が締結された場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
2 Bは、第三者であるCから甲土地がリゾート開発される地域内になるとだまされて売買契約を締結した場合、AがCによる詐欺の事実を知っていたとしても、Bは本件売買契約を詐欺を理由に取り消すことはできない。
誤り。Bの相手方Aに対する意思表示について第三者Cが詐欺を行った場合においては、相手方Aがその事実を知っていたときに限り、Bは、その意思表示を取り消すことができる(民法第96条第2項)。本肢は、Aは悪意であり、Bは本件売買契約を取消すことができる。
4 BがEに甲土地を転売した後に、AがBの強迫を理由にAB間の売買契約を取り消した場合には、EがBによる強迫につき知らなかったときであっても、AはEから甲土地を取り戻すことができる。
正しい。強迫による取消しは、善意の第三者にも対抗することができる(民法第96条)。

2010年(平成22年)

【問 4】 AがBから甲土地を購入したところ、甲土地の所有者を名のるCがAに対して連絡してきた。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
2 甲土地はCからB、BからAと売却されており、CB間の売買契約がBの強迫により締結されたことを理由として取り消された場合には、BA間の売買契約締結の時期にかかわらず、Cは登記がなくてもAに対して所有権を主張することができる。
誤り。CB間の売買契約が取消される前にBA間の売買契約が締結された場合、Aは取消し前の第三者にあたり、Cは登記がなくてもAに対し、所有権を主張することができる(民法第96条、判例)。一方、CB間の売買契約が取り消された後にBA間の売買契約が締結された場合、Aは取消し後の第三者にあたるため、CとAは対抗関係に立ち、Cは登記がなければAに対し、所有権を主張することができない(民法第177条、判例)。

2008年(平成20年)

【問 2】 所有権がAからBに移転している旨が登記されている甲土地の売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
4 FはBとの間で売買契約を締結して所有権移転登記をしたが、その後AはBの強迫を理由にAB間の売買契約を取り消した場合、FがBによる強迫を知っていたときに限り、Aは所有者であることをFに対して主張できる。
誤り。強迫による意思表示は取り消すことができる。この場合の取消しは、善意の第三者に対しても対抗することができる(民法第96条)。

2007年(平成19年)

【問 1】 A所有の甲土地についてのAB間の売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
3 Aが第三者Cの強迫によりBとの間で売買契約を締結した場合、Bがその強迫の事実を知っていたか否かにかかわらず、AはAB間の売買契約に関する意思表示を取り消すことができる。
正しい。本肢記述のとおり(民法第96条、判例)。

 

2004年(平成16年)

【問 1】 A所有の土地につき、AとBとの間で売買契約を締結し、Bが当該土地につき第三者との間で売買契約を締結していない場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
3 Aが、Cの詐欺によってBとの間で売買契約を締結した場合、Cの詐欺をBが知っているか否かにかかわらず、Aは売買契約を取り消すことはできない。
誤り。相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる(民法第96条第2項)。
4 Aが、Cの強迫によってBとの間で売買契約を締結した場合、Cの強迫をBが知らなければ、Aは売買契約を取り消すことができない。
誤り。第三者の強迫による意思表示の場合、相手方がその事実について善意・悪意には関係なく、表意者は取り消すことができる(民法第96条第2項)。

2002年(平成14年)

【問 1】 AがBの欺罔行為によって、A所有の建物をCに売却する契約をした場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 Aは、Bが欺罔行為をしたことを、Cが知っているときでないと、売買契約の取消しをすることができない。
正しい。相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる(民法第96条第2項)。
4 Cが当該建物を、詐欺について善意のDに転売して所有権移転登記を済ませても、Aは詐欺による取り消しをして、Dから建物の返還を求めることができる。
誤り。Aは善意のDには対抗できない(民法第96条第3項)。

1998年(平成10年)

【問 7】 Aが、A所有の土地をBに売却する契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 AのBに対する売却の意思表示がCの詐欺によって行われた場合で、BがそのCによる詐欺の事実を知っていたとき、Aは、売却の意思表示を取り消すことができる。
正しい。相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる(民法第96条第2項)。
2 AのBに対する売却の意思表示がBの強迫によって行われた場合、Aは、売却の意思表示を取り消すことができるが、その取消しをもって、Bからその取消し前に当該土地を買い受けた善意のDには対抗できない。
誤り。Aは、売却の意思表示を取り消すことができ、その取消しをもって、Bからその取消し前に当該土地を買い受けた善意のDには対抗できる(民法第96条第3項)。

1996年(平成8年)

【問 2】 Aが、Bの代理人として、Cとの間でB所有の土地の売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
3 Aが、Bから土地売買の代理権を与えられ、CをだましてBC間の売買契約を締結した場合は、Bが詐欺の事実を知っていたと否とにかかわらず、Cは、Bに対して売買契約を取り消すことができる。
正しい。詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる(民法第96条第1項)。本人Bの善意・悪意は関係ない。

 

【問 5】 A所有の土地について、AがBに、BがCに売り渡し、AからBへ、BからCへそれぞれ所有権移転登記がなされた場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Cが移転登記を受ける際に、AB間の売買契約がBの詐欺に基づくものであることを知らなかった場合で、当該登記の後にAによりAB間の売買契約が取り消されたとき、Cは、Aに対して土地の所有権の取得を対抗できる。
正しい。詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない(民法第96条第3項)。

1994年(平成6年)

【問 2】 Aは、「近く新幹線が開通し、別荘地として最適である」旨のBの虚偽の説明を信じて、Bの所有する原野(時価20万円)を、別荘地として2,000万円で購入する契約を締結した。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
3 Aは、当該契約の締結は詐欺に基づくものであるとして、その取消しを主張することができるが、締結後20年を経過したときは、取り消すことができない。
正しい。詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる(民法第96条第1項)。取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から20年を経過したときも、同様とする(同法第126条)。

1992年(平成4年)

【問 2】 Aが未成年者Bに土地売却に関する代理権を与えたところ、Bは、Cにだまされて、善意のDと売買契約を締結した。しかし、Aは、Bがだまされたことを知らなかった。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
3 Aは、BがCにだまされたことを知らなかったのであるから、契約を取消すことができる。
誤り。相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる(民法第96条第2項)。本問では、本人Aには、取消権があるが、相手方Dが善意のため、取消すことができない。
4 CがBをだましたことをDが知らなかったのであるから、Aは、契約を取消すことができない。
正しい。本肢記述のとおり。なお、第3肢の解説も参照(民法第96条第2項)。

 

【問 8】 居住用不動産の売買契約の解除又は取消に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
4 当該契約の締結は、第三者の詐欺によるものであったとして、買主が契約を取消した場合、買主は、まず登記の抹消手続きを終えなければ、代金返還を請求することができない。
誤り。売買契約が第三者による詐欺で取消されたとき、登記の抹消手続きと代金返還は同時履行の関係に立つ(民法第96条第2項、第121条、判例)。

1991年(平成3年)

【問 2】 Aがその所有地をBに譲渡し、移転登記を完了した後、Cが、Bからその土地を賃借して、建物を建て、保存登記を完了した。その後、AがBの強迫を理由としてAB間の売買契約を取り消し、Cに対して土地の明渡し及び建物の収去を請求した場合、民法及び借地借家法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
1 Cは、借地権に基づき、Aの請求を拒むことができる。
誤り。強迫による意思表示は、取り消すことができ、善意の第三者にも対抗することができる(民法第96条)。したがって、Cは、借地権に基づき、Aの請求を拒むことはできない。
2 Cは、Bの登記名義を善意無過失に信じたとして、Aの請求を拒むことができる。
誤り。第1肢の解説参照(民法第96条)。
3 Cは、AがBから強迫を受けたことを知らないことについて善意無過失であるとして、Aの請求を拒むことができる。
誤り。第1肢の解説参照(民法第96条)。
4 Cは、Aの請求を拒むことができない。
正しい。第1肢の解説参照(民法第96条)。

1990年(平成2年)

【問 5】 Aは、Bの代理人として、C所有の土地についてCと売買契約を締結したが、その際、次に掲げるような事情があった場合、民法の規定および判例によれば、誤っているものはどれか。
3 CがAをだまして売買契約を締結させた場合は、Aは当該売買契約を取り消すことができるが、Bは取り消せない。
誤り。本肢の場合、取消権は本人Bに帰属する(民法第96条第1項、第99条第1項、第101条)。

1990年(平成2年)

【問 5】 Aは、Bの代理人として、C所有の土地についてCと売買契約を締結したが、その際、次に掲げるような事情があった場合、民法の規定および判例によれば、誤っているものはどれか。
3 CがAをだまして売買契約を締結させた場合は、Aは当該売買契約を取り消すことができるが、Bは取り消せない。
誤り。本肢の場合、取消権は本人Bに帰属する(民法第96条第1項、第99条第1項、第101条)。

1989年(平成1年)

【問 3】 A所有の土地が、AからB、BからCへと売り渡され、移転登記も完了している。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
1 Aは、Bにだまされて土地を売ったので、その売買契約を取り消した場合、そのことを善意のCに対し対抗することができる。
誤り。詐欺による取消しは、善意の第三者に対抗することができない(民法第96条)。
4 Aは、Bに強迫されて土地を売ったので、その売買契約を取り消した場合、そのことを善意のCに対し対抗することができる。
正しい。本肢記述のとおり(民法第96条)。

詐欺

【2011 問 1】 A所有の甲土地につき、AとBとの間で売買契約が締結された場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
2 Bは、第三者であるCから甲土地がリゾート開発される地域内になるとだまされて売買契約を締結した場合、AがCによる詐欺の事実を知っていたとしても、Bは本件売買契約を詐欺を理由に取り消すことはできない。
誤り。Bの相手方Aに対する意思表示について第三者Cが詐欺を行った場合においては、相手方Aがその事実を知っていたときに限り、Bは、その意思表示を取り消すことができる(民法第96条第2項)。本肢は、Aは悪意であり、Bは本件売買契約を取消すことができる。
【2004 問 1】 A所有の土地につき、AとBとの間で売買契約を締結し、Bが当該土地につき第三者との間で売買契約を締結していない場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
3 Aが、Cの詐欺によってBとの間で売買契約を締結した場合、Cの詐欺をBが知っているか否かにかかわらず、Aは売買契約を取り消すことはできない。
誤り。相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる(民法第96条第2項)。
【2002 問 1】 AがBの欺罔行為によって、A所有の建物をCに売却する契約をした場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 Aは、Bが欺罔行為をしたことを、Cが知っているときでないと、売買契約の取消しをすることができない。
正しい。相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる(民法第96条第2項)。
4 Cが当該建物を、詐欺について善意のDに転売して所有権移転登記を済ませても、Aは詐欺による取り消しをして、Dから建物の返還を求めることができる。
誤り。Aは善意のDには対抗できない(民法第96条第3項)。
【1998 問 7】 Aが、A所有の土地をBに売却する契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 AのBに対する売却の意思表示がCの詐欺によって行われた場合で、BがそのCによる詐欺の事実を知っていたとき、Aは、売却の意思表示を取り消すことができる。
正しい。相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる(民法第96条第2項)。
【1996 問 2】 Aが、Bの代理人として、Cとの間でB所有の土地の売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
3 Aが、Bから土地売買の代理権を与えられ、CをだましてBC間の売買契約を締結した場合は、Bが詐欺の事実を知っていたと否とにかかわらず、Cは、Bに対して売買契約を取り消すことができる。
正しい。詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる(民法第96条第1項)。本人Bの善意・悪意は関係ない。
【1996 問 5】 A所有の土地について、AがBに、BがCに売り渡し、AからBへ、BからCへそれぞれ所有権移転登記がなされた場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Cが移転登記を受ける際に、AB間の売買契約がBの詐欺に基づくものであることを知らなかった場合で、当該登記の後にAによりAB間の売買契約が取り消されたとき、Cは、Aに対して土地の所有権の取得を対抗できる。
正しい。詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない(民法第96条第3項)。
【1994 問 2】 Aは、「近く新幹線が開通し、別荘地として最適である」旨のBの虚偽の説明を信じて、Bの所有する原野(時価20万円)を、別荘地として2,000万円で購入する契約を締結した。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
3 Aは、当該契約の締結は詐欺に基づくものであるとして、その取消しを主張することができるが、締結後20年を経過したときは、取り消すことができない。
正しい。詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる(民法第96条第1項)。取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から20年を経過したときも、同様とする(同法第126条)。
【1992 問 2】 Aが未成年者Bに土地売却に関する代理権を与えたところ、Bは、Cにだまされて、善意のDと売買契約を締結した。しかし、Aは、Bがだまされたことを知らなかった。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
3 Aは、BがCにだまされたことを知らなかったのであるから、契約を取消すことができる。
誤り。相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる(民法第96条第2項)。本問では、本人Aには、取消権があるが、相手方Dが善意のため、取消すことができない。
4 CがBをだましたことをDが知らなかったのであるから、Aは、契約を取消すことができない。
正しい。本肢記述のとおり。なお、第3肢の解説も参照(民法第96条第2項)。
【1992 問 8】 居住用不動産の売買契約の解除又は取消に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
4 当該契約の締結は、第三者の詐欺によるものであったとして、買主が契約を取消した場合、買主は、まず登記の抹消手続きを終えなければ、代金返還を請求することができない。
誤り。売買契約が第三者による詐欺で取消されたとき、登記の抹消手続きと代金返還は同時履行の関係に立つ(民法第96条第2項、第121条、判例)。
【1990 問 5】 Aは、Bの代理人として、C所有の土地についてCと売買契約を締結したが、その際、次に掲げるような事情があった場合、民法の規定および判例によれば、誤っているものはどれか。
3 CがAをだまして売買契約を締結させた場合は、Aは当該売買契約を取り消すことができるが、Bは取り消せない。
誤り。本肢の場合、取消権は本人Bに帰属する(民法第96条第1項、第99条第1項、第101条)。
【1989 問 3】 A所有の土地が、AからB、BからCへと売り渡され、移転登記も完了している。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
1 Aは、Bにだまされて土地を売ったので、その売買契約を取り消した場合、そのことを善意のCに対し対抗することができる。
誤り。詐欺による取消しは、善意の第三者に対抗することができない(民法第96条)。

強迫

【2011 問 1】 A所有の甲土地につき、AとBとの間で売買契約が締結された場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
4 BがEに甲土地を転売した後に、AがBの強迫を理由にAB間の売買契約を取り消した場合には、EがBによる強迫につき知らなかったときであっても、AはEから甲土地を取り戻すことができる。
正しい。強迫による取消しは、善意の第三者にも対抗することができる(民法第96条)。
【2010 問 4】 AがBから甲土地を購入したところ、甲土地の所有者を名のるCがAに対して連絡してきた。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
2 甲土地はCからB、BからAと売却されており、CB間の売買契約がBの強迫により締結されたことを理由として取り消された場合には、BA間の売買契約締結の時期にかかわらず、Cは登記がなくてもAに対して所有権を主張することができる。
誤り。CB間の売買契約が取消される前にBA間の売買契約が締結された場合、Aは取消し前の第三者にあたり、Cは登記がなくてもAに対し、所有権を主張することができる(民法第96条、判例)。一方、CB間の売買契約が取り消された後にBA間の売買契約が締結された場合、Aは取消し後の第三者にあたるため、CとAは対抗関係に立ち、Cは登記がなければAに対し、所有権を主張することができない(民法第177条、判例)。
【2008 問 2】 所有権がAからBに移転している旨が登記されている甲土地の売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
4 FはBとの間で売買契約を締結して所有権移転登記をしたが、その後AはBの強迫を理由にAB間の売買契約を取り消した場合、FがBによる強迫を知っていたときに限り、Aは所有者であることをFに対して主張できる。
誤り。強迫による意思表示は取り消すことができる。この場合の取消しは、善意の第三者に対しても対抗することができる(民法第96条)。
【2007 問 1】 A所有の甲土地についてのAB間の売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
3 Aが第三者Cの強迫によりBとの間で売買契約を締結した場合、Bがその強迫の事実を知っていたか否かにかかわらず、AはAB間の売買契約に関する意思表示を取り消すことができる。
正しい。本肢記述のとおり(民法第96条、判例)。
【2004 問 1】 A所有の土地につき、AとBとの間で売買契約を締結し、Bが当該土地につき第三者との間で売買契約を締結していない場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
4 Aが、Cの強迫によってBとの間で売買契約を締結した場合、Cの強迫をBが知らなければ、Aは売買契約を取り消すことができない。
誤り。第三者の強迫による意思表示の場合、相手方がその事実について善意・悪意には関係なく、表意者は取り消すことができる(民法第96条第2項)。
【1998 問 7】 Aが、A所有の土地をBに売却する契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
2 AのBに対する売却の意思表示がBの強迫によって行われた場合、Aは、売却の意思表示を取り消すことができるが、その取消しをもって、Bからその取消し前に当該土地を買い受けた善意のDには対抗できない。
誤り。Aは、売却の意思表示を取り消すことができ、その取消しをもって、Bからその取消し前に当該土地を買い受けた善意のDには対抗できる(民法第96条第3項)。
【1991 問 2】 Aがその所有地をBに譲渡し、移転登記を完了した後、Cが、Bからその土地を賃借して、建物を建て、保存登記を完了した。その後、AがBの強迫を理由としてAB間の売買契約を取り消し、Cに対して土地の明渡し及び建物の収去を請求した場合、民法及び借地借家法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
1 Cは、借地権に基づき、Aの請求を拒むことができる。
誤り。強迫による意思表示は、取り消すことができ、善意の第三者にも対抗することができる(民法第96条)。したがって、Cは、借地権に基づき、Aの請求を拒むことはできない。
2 Cは、Bの登記名義を善意無過失に信じたとして、Aの請求を拒むことができる。
誤り。第1肢の解説参照(民法第96条)。
3 Cは、AがBから強迫を受けたことを知らないことについて善意無過失であるとして、Aの請求を拒むことができる。
誤り。第1肢の解説参照(民法第96条)。
4 Cは、Aの請求を拒むことができない。
正しい。第1肢の解説参照(民法第96条)。
【1989 問 3】 A所有の土地が、AからB、BからCへと売り渡され、移転登記も完了している。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
4 Aは、Bに強迫されて土地を売ったので、その売買契約を取り消した場合、そのことを善意のCに対し対抗することができる。
正しい。本肢記述のとおり(民法第96条)。

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