民法第110条(権限外の行為の表見代理)

2014年(平成26年)

【問 2】 代理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはいくつあるか。
イ 不動産を担保に金員を借り入れる代理権を与えられた代理人が、本人の名において当該不動産を売却した場合、相手方において本人自身の行為であると信じたことについて正当な理由があるときは、表見代理の規定を類推適用することができる。
正しい。民法第109条に規定する「第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。」という規定は、「代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する(同法第110条)。本肢の場合は、この第110条の規定を類推適用することができる(判例)。

2006年(平成18年)

【問 2】 AはBの代理人として、B所有の甲土地をCに売り渡す売買契約をCと締結した。しかし、Aは甲土地を売り渡す代理権は有していなかった。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
2 BがAに対し、甲土地に抵当権を設定する代理権を与えているが、Aの売買契約締結行為は権限外の行為となる場合、甲土地を売り渡す具体的な代理権がAにあるとCが信ずべき正当な理由があるときは、BC間の本件売買契約は有効となる。
正しい。本肢記述のとおり(民法第110条)。

2004年(平成16年)

【問 2】 B所有の土地をAがBの代理人として、Cとの間で売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 AとBとが夫婦であり契約に関して何ら取り決めのない場合には、不動産売買はAB夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内にないとCが考えていた場合も、本件売買契約は有効である。
誤り。日常家事については、夫婦相互間に代理権がある。また、夫婦の一方が日常家事の範囲を超える法律行為をした場合については、相手方においてその法律行為が日常家事に関する法律行為の範囲内にあると信じたことについて正当の理由があるときには、民法第110条の表見代理の規定が類推適用され、その契約は有効になる(判例)。本肢では、Cは「この不動産売買はAB夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内にない」と考えているので、この判例の表見代理の類推適用は適用されない(民法第110条、第761条)。

2002年(平成14年)

【問 2】 AがBの代理人としてCとの間で、B所有の土地の売買契約を締結する場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
2 Bが、AにB所有土地を担保として、借金をすることしか頼んでいない場合、CがAに土地売却の代理権があると信じ、それに正当の事由があっても、BC間に売買契約は成立しない。
誤り。権限外の行為の表見代理が成立する(民法第110条)。

1999年(平成11年)

【問 7】 Aが、A所有の1棟の賃貸マンションについてBに賃科の徴収と小修繕の契約の代理をさせていたところ、Bが、そのマンションの1戸をAに無断で、Aの代理人として賃借人Cに売却した。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。
3 Aが追認しない場合でも、CがBに代理権があると信じ、そう信じることについて正当な理由があるとき、Cは、直接Aに対して所有権移転登記の請求をすることができる。
正しい。権限外の行為の表見代理が成立する(民法第110条)。

1996年(平成8年)

【問 2】 Aが、Bの代理人として、Cとの間でB所有の土地の売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
2 AがBから抵当権設定の代理権を与えられ、土地の登記済証、実印、印鑑証明書の交付を受けていた場合で、CがBC間の売買契約についてAに代理権ありと過失なく信じたとき、Cは、Bに対して土地の引渡しを求めることができる。
正しい。代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときは、表見代理が成立する(民法第110条)。

1994年(平成6年)

【問 4】 Aは、Bの代理人として、Bの所有地をCに売却した。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
2 BがAに抵当権設定の代理権しか与えていなかったにかかわらず、Aが売買契約を締結した場合、Bは、Cが善意無過失であっても、その売買契約を取り消すことができる。
誤り。代理人Aがその権限外の行為をした場合において、第三者Cが代理人Aの権限があると信ずべき正当な理由があるときは、表見代理が成立し、Cは、Bに対して、土地の引渡しを請求することができる(民法第110条)。また、代理権を有しないAがBの代理人としてした契約は、Bがその追認をしなければ、その効力を生じない(無効)。Bに取消権があるわけではない(同法第113条)。

関係法令

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