民法第15条(補助開始の審判)

2008年(平成20年)

【問 1】 行為能力に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
3 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者につき、 四親等内の親族から補助開始の審判の請求があった場合、家庭裁判所はその事実が認められるときは、本人の同意がないときであっても同審判をすることができる。
誤り。本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない(民法第15条第2項)。

関係法令

法令解説

  • 補助開始の審判の対象者
    補助開始の審判は、精神上の障害(痴呆、知的障害、精神障害等)により事理を弁識する能力が不十分な者を対象としているから、精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な者、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、保佐または後見制度の対象となるから、補助の審判を受けることはできない。
    具体的には、重要な財産行為について、自らできるかもしれないが、適切にできるか危惧があり、本人の利益のためには誰かに代わってもらったほうがよいとか、いわゆる「まだら呆け」でその程度も軽度で、自己の財産を管理・処分するには援助が必要な場合があるという程度の者である。なお、補助開始の審判を家庭裁判所に申し立てる場合には、本人の同意が必要である。能力を判断するための鑑定は、原則的には不要で、医師の診断書などの証拠によって認定を受けることができる。
  • 補助開始の審判の請求者
    本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人または検察官の請求によりと規定する。しかし、配偶者や四親等内の親族がいない場合や、それらの親族があっても音信不通の状況にある場合など申立てができないときは、市町村長が補助の申立てをすることができる(実際には、民生委員等の情報により、市町村の社会福祉事務所の職員が申立て事務を行う)。

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