民法第9条(成年被後見人の法律行為)

2014年(平成26年)

【問 9】 後見人制度に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 成年被後見人が第三者との間で建物の贈与を受ける契約をした場合には、成年後見人は、当該法律行為を取り消すことができない。
誤り。成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない(民法第9条)。成年被後見人については、建物の贈与を受ける契約のように、単に利益を受けるだけの行為であっても、取消すことができる。

2008年(平成20年)

【問 1】 行為能力に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 成年被後見人が行った法律行為は、事理を弁識する能力がある状態で行われたものであっても、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りではない。
正しい。条文のとおり。

2003年(平成15年)

【問 1】 意思無能力者又は制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
3 成年被後見人が成年後見人の事前の同意を得て土地を売却する意思表示を行った場合、成年後見人は、当該意思表示を取り消すことができる。
正しい。本肢記述のとおり(民法第9条)。

1990年(平成2年)

【問 4】 A所有の土地が、AからB、Bから善意無過失のCへと売り渡され、移転登記もなされている。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。
1 Aが成年被後見人の場合、Aは、契約の際完全な意思能力を有していても、AB間の契約を取り消し、Cに対して所有権を主張することができる。
正しい。本肢記述のとおり(民法第9条)。

関係法令

法令解説

  • 日常生活に関する行為
    「日常生活に関する行為」とは、本人が生活を営む上で通常必要な行為をさす。
    具体的には、各人の職業、資産、収入、生活の状況、その法律行為の個別的な目的等の事情、法律行為の種類、性質などを総合的に判断することになる。
    典型例としては、食料品、衣料品等の買い物などの「日用品の購入」、電気、ガス、水道料の支払い、その支払いのために必要な範囲での預貯金の引き出しなどを想定している。
    なお、年金の管理、処分も日常生活に関する行為と認めることができる場合があるとの見解もある。
  • 取消し得る行為
    成年被後見人のなした財産上の法律行為は、これを取消すことができる。
    ある範囲の身分行為については、成年被後見人であっても意思能力さえあれば確定的に有効的になしうる。
    取消しは、成年被後見人自身またはその後見人がこれをなしうる。
  • 後見人の同意を得てなした成年被後見人の行為の効力
    現在では、未成年者の法定代理人、被保佐人の保佐人、被補助人の補助人と異なり、成年被後見人の後見人には同意権を有する旨の規定がないこと、成年被後見人は意思能力を欠く常況にあるものであることから、事前に同意を与えて単独に行動させることは、本人保護の上からも、相手方の利益からみても危険であることを理由に、成年被後見人の行為を常に取消すことができると解するのが通説である。ただし、反対説もある。
    平成11年改正においても、同意権については変更はなく、成年後見人は、その同意の有無にかかわらず、成年被後見人の行った法律行為について、取消権を行使することができる。

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