民法第7条(後見開始の審判)

2014年(平成26年)

【問 9】 後見人制度に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
3 未成年後見人は、自ら後見する未成年者について、後見開始の審判を請求することはできない。
誤り。精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる(民法第7条)。

2012年(平成24年)

【問 3】 次の記述のうち、民法の条文に規定されているものはどれか。
1 意思能力を欠く状態でなされた意思表示が無効である旨
条文に規定されていない。年齢的未成熟や精神的障害などによって、ある程度の判断能力すら備えていない者のなした意思の表明を法的に評価し、これに拘束力を認めることはできないため、意思能力を欠く状態でなされた意思表示は無効である。ここでいう意思能力とは、自己の行為の結果を判断することのできる精神能力をいい、正常な認識力と予期力を含むものと言われている。しかし、この内容は民法の条文に規定されていない(民法第7条参照)。

2007年(平成19年)

【問 1】 A所有の甲土地についてのAB間の売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
4 AB間の売買契約が、Aが泥酔して意思無能力である間になされたものである場合、Aは、酔いから覚めて売買契約を追認するまではいつでも売買契約を取り消すことができ、追認を拒絶すれば、その時点から売買契約は無効となる。
誤り。意思無能力者がした法律行為は無効である(判例)。

2005年(平成17年)

【問 1】 自己所有の土地を売却するAの売買契約の相手方に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
2 買主Cが意思無能力者であった場合、Cは、Aとの間で締結した売買契約を取り消せば、当該契約を無効にできる。
誤り。意思無能力者がした法律行為は無効である(判例)。

2003年(平成15年)

【問 1】 意思無能力者又は制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 意思能力を欠いている者が土地を売却する意思表示を行った場合、その親族が当該意思表示を取り消せば、取消しの時点から将来に向かって無効となる。
誤り。意思無能力者の法律行為は、はじめから無効。

関係法令

法令解説

  • 実質的要件
    「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く」とは、自己の行為の結果について合理的な判断をする能力(意思能力)のないことを意味する。「常況にある」とは、間断なく心神喪失の状態にある場合のみならず、時々通常の状態に戻ることはあっても、ほとんどの場合に事理弁識能力がない場合を含む。後者の場合、具体的に行為(契約)をした時点において意思能力があるかどうかを問題とせず、画一的な処理を可能とするところに制限行為能力者の制度の存在理由がると言われる。
    後見制度の対象者としては、日常の買い物も自分ではできず、だれかに代わってもらう必要がある人、家族の名前や自分の居住場所がわからなくなっている人、完全な植物状態にある人などがあげられる。
  • 後見開始の審判手続き
    家庭裁判所が後見開始の審判をする場合、本人の精神状況について、本人が植物状態にあると医師が診断している場合など、明らかにその必要がない場合を除き、医師その他適当な者(精神科医)に鑑定をさせなければならない。鑑定が不要とされる場合も、医師等の診断により本人の精神状況を判断することになる。なお、審判手続きの過程で本人の陳述を聴取することとされている。
  • 審判開始後の調整
    後見開始の審判を申し立てたが、保佐開始の要件や補助開始の要件を満たす場合、または、その逆の場合、心神喪失と心神耗弱とは程度の差でしかないため、申し立てとは違い、保佐開始の審判などがなされることがある(解釈も実務も同様)。
  • 審判確定後の後見登記
    取引の安全への要請と本人のプライバシーの保護の要請の調和をはかる観点から戸籍への記載に代わる公示方法として成年後見登記制度が創設された。 原則として、裁判所書記官または公証人の嘱託により、登記所に備える登記ファイルに法定後見および任意後見契約についての所要の登記事項を記録するとともに、代理権等の公示の要請とプライバシー保護の要請との調和の観点から、本人・成年後見人・成年後見監督人・任意後見受任者・任意後見人・任意後見監督人その他一定の者に請求権者を限定したうえで、登記事項証明書を交付することにした。

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