民法第5条(未成年者の法律行為)

2010年(平成22年)

【問 1】 制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 土地を売却すると、土地の管理義務を免れることになるので、婚姻していない未成年者が土地を売却するに当たっては、その法定代理人の同意は必要ない。
誤り。未成年者が法律行為(本肢の土地の売買契約)をするには、その法定代理人の同意を得なければならない(民法第5条第1項)。なお、未成年者であっても婚姻していれば、ひとりで売買契約ができるが、本肢の未成年者は婚姻していない(同法第753条)。

2008年(平成20年)

【問 1】 行為能力に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
2 未成年者は、婚姻をしているときであっても、その法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、取り消すことができる。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りではない。
誤り。未成年者が婚姻したときは、これによって成年に達したものとみなす。したがって、単独で法律行為をすることができ、未成年を理由として取り消すことはできない(民法第5条、第753条)。

2005年(平成17年)

【問 1】 自己所有の土地を売却するAの売買契約の相手方に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
4 買主Eが婚姻している未成年者であり、当該婚姻がEの父母の一方の同意を得られないままになされたものである場合には、Eは未成年者であることを理由に当該売買契約を取り消すことができる。
誤り。婚姻している未成年者は成年者とみなされるため単独でした契約は取り消せない(民法第5条、第753条)。なお、婚姻は父母いずれかの同意があればよい(民法第737条第2項)。

2003年(平成15年)

【問 1】 意思無能力者又は制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
2 未成年者が土地を売却する意思表示を行った場合、その未成年者が婚姻をしていても、親権者が当該意思表示を取り消せば、意思表示の時点に遡って無効となる。
誤り。未成年者が婚姻すれば成年者とみなされ、単独でした契約は取り消せない(民法第5条、第753条)。

2002年(平成14年)

【問 2】 AがBの代理人としてCとの間で、B所有の土地の売買契約を締結する場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
3 Bは未成年者であっても、Aが成年に達した者であれば、Bの法定代理人の同意又は許可を得ることなく、Aに売買の代理権を与えて、Cとの間で土地の売買契約を締結することができ、この契約を取消すことはできない。
誤り。未成年者が単独でした代理契約は取り消すことができる(民法第5条)。

1990年(平成2年)

【問 4】 A所有の土地が、AからB、Bから善意無過失のCへと売り渡され、移転登記もなされている。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。
2 Aが未成年者の場合、Aは、法定代理人の同意を得ずに契約をしていても、成年に達すれば、AB間の契約を取り消すことができなくなる。
誤り。未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならず、これに反する法律行為は取消すことができる(民法第5条第1項・第2項)。取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から20年を経過したときも、同様とする(同法第126条)。成年に達すると直ちに取消せなくなるわけではない。

1989年(平成1年)

【問 3】 A所有の土地が、AからB、BからCへと売り渡され、移転登記も完了している。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
2 Aは、Bに土地を売ったとき未成年者で、かつ、法定代理人の同意を得ていなかったので、その売買契約を取り消した場合、そのことを善意のCに対し対抗することができない。
誤り。未成年を理由とする取消しは、善意の第三者に対しても対抗することができる(民法第5条)。

関係法令

判例

  • 意思能力を有する未成年者が受贈契約をなすことは、たとえ法定代理人の同意を得ていない場合でも、有効である(大判大9・1・21)。
  • 法定代理人の同意権は、法律に特別の規定がない限り、原則として財産上の法律行為に限られ、身分上の行為には及ばない(大判大15・6・17)。
  • 債務の承認は、本条第1項ただし書の単に権利を得または債務を免れるべき行為にあたらない(大判昭13・2・4)。

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